いまの私の一番の癒やし『ジャック日記』

 この社会どうなっちゃうんだろうという思いに押しつぶされそうな中、今の私の一番の癒やしはこれ、『ジャック日記』。

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 画家の木村かほるさんが、お母様の介護生活の傍ら、面白かったことをスケッチしていたのが始まり。いま私が愛読してるのはそれをまとめた小冊子で、それが発展して、今秋に本になって出版予定なのだそうです。

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ちなみにジャックとは、モナコ王室に生まれた双子の赤ちゃんの男の子(下の画像)の方で、この赤ちゃんが、かほるさんのお母様にそっくりだったそうで、以来、お母様のアダ名はジャックになったそうですw

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というわけで、ジャック日記のジャックは赤ちゃんのような、おばあちゃんのような不思議な存在で、このジャックの好きなDVDや本や食べもの(ジャックの食べ物の好みは私と合う気がする!)に囲まれた生活と、それを見守る木村姉妹の生活がほんと、見ていて楽しい。いつまでも眺めていたい感じw

「ジャック日記の人々」を見ると、小冊子には登場してない登場人物がまだまだたくさんいるので、できあがった本をみるのがほんと楽しみ!

お問い合わせは青山の画廊、スペースユイまで。

 

『痴人の愛』

 

痴人の愛 (新潮文庫)

痴人の愛 (新潮文庫)

 

 これ若い頃に一度読んだけど、けっこう内容を忘れてた。当時は「ナオミすごすぎる…。やっぱりこれだけ美しければ男も金も思い通りにできるんだろうか」と、ひたすらすごいすごいだったんだけど、今読むとそれはまあ感想も違ってくるよね。

まずナオミの話というよりも、ナオミと譲治のバカップル話だと今回は思った。割れ鍋に綴じ蓋みたいなね。そもそも冒頭からして譲治の「私たち夫婦の話を聞いて下さい」みたいなのから始まるしね。

粗筋は、世間では真面目で通ってるサラリーマンの譲治が、カフェーの女給をしていた少女ナオミを見初め、「ハーフっぽい容貌も白人好きな俺の好みだし、ここは一つ、彼女を引き取って理想の女に仕立てたる!」と、共に暮らし出すんだけど、ナオミがとんでもないモンスターに成長して、すっかり尻に敷かれまくった夫婦生活になる。という話。

文庫本裏表紙の解説には「やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく」とあるんだけど、会社を辞めてからも、仲間と会社を作って経営者になり、しかも実働は仲間が担ってくれるから出資者の譲治は基本的に何もしなくてよくて、その上、ナオミとの贅沢な暮らしを賄う生活費を捻出できてるんだから、身を滅ぼすどころか成功してるよねこれ。結局、振り回されるるも好きなナオミと一緒に暮らせてるし、ナオミの方も激しく男遊びをしつつも、結局ずっと付き合ってくれるのは譲治だけみたいだし。

ただ、ナオミの「性を売り物にしてのし上がる」ってすごくリスキーな生き方だよね。これはこの歳になっていろいろと見聞きしてほんとそう思う。小説だから無事に来れたけど、現実世界だったら殺されたりレイプされたりみたいな危険と隣り合わせだから。

「少女を引き取って理想の女性に」というと、源氏物語光源氏と紫の上みたいだけど、これは明らかにナオミの方が幸せを掴んでると思う。だって、紫の上は源氏を顎で使うなんてできないし、不本意なことがあっても勝手に出ていくなんてできないものね。

あと、『痴人の愛』では、舞台が大森で、京浜急行京浜東北線(小説内では省線としか書かれてなかったけどたぶんこの路線)とか、横浜の山手や本牧が出てきたりと、わりと馴染みのあるところが出てきたので楽しかった。ナオミたちは当初、大森で暮らし始めて、そのうちにナオミが「もっとハイカラな生活がしたい!」と、それで横浜に引っ越していくんですよ。今の横浜にはハイカラの残骸があるだけだけど、当時は現役のハイカラだったんだなと感慨深かったw

『小心者のアメリカ大陸一人旅』

 

小心者のアメリカ大陸一人旅

小心者のアメリカ大陸一人旅

 

 タイトル通りの小心者でどんくさくてイライラするこの著者ー!と思いながら読んでいたところ、ふと、「あれ、私だって海外旅行のときってこんな感じじゃないか?」と気がつきました。

旅のエキスパートのような人が書く旅行記よりも断然役に立ちます。どの辺が役に立ったかというと「メキシコが旅をしやすいらしい!」というところ。この小心者でドン臭い著者(すみません)もほっとして楽しく旅ができる国、それがメキシコらしいんです!

いやー、これはいいこと聞いた。私も行ってみたい!

本書によると、人は素朴で親切な人が多いようだし、食べ物は美味しいみたいだし、そもそも私、メキシコ料理大好きだし、暖かくて海も綺麗みたいだし。で「メキシコが治安悪くて怖い」というのは、どうもアメリカ経由の情報らしい。ただ、本の中でも実際に物乞いの子どもに囲まれた日本人夫婦の話も出てくるので、やっぱりそういうのはあるみたい。

いつかメキシコに行く日のためにスペイン語を勉強しようかなとか思った。

『戦後民主主義と少女漫画 (PHP新書)』

 

戦後民主主義と少女漫画 (PHP新書)
 

おもしろかったー!

昔、少女漫画というものは取るに足らないサブカルチャーとして扱われていた。それが70年代、よく「24年組」と呼ばれる漫画家の出現によって大きく変わる。

この変化をリアルタイムで体験した人たちが羨ましい。「おおおっ、これは…!」みたいな「な…何かが起こりつつある!」みたいな気持ちだったのではないかなあ。

ここで紹介されていた作家の中では大島弓子のが一番読みたいなあ。実は私、24年組の作品ってあんまり読んだことがないんですよね。もっと言うと、『風と木の詩』とかいまいち良さがわからないの。あの名作と謳われる『はみだしっ子』もお借りして読んだんだけど、途中で飽きてしまった…。

どうも、私は感性に柔軟性がないというか、美少年キャラに萌えたり感情移入できたりというのがあまりできなみたいなんですよね。 

 

『独女日記3 食べて、忘れて、散歩して』

 

独女日記3 食べて、忘れて、散歩して

独女日記3 食べて、忘れて、散歩して

 

 やっぱりいいわ~このシリーズ。

札幌のマンションでヨークシャーテリアのはなちゃんと暮らしている作家の藤堂志津子さんの身辺雑記。私が60代になる頃ってこんなふうな考え方をしているんじゃないかなあとか、図々しくもそんなことを思いながら読んでます。愉しみや迷いの感覚にとても共感を覚えて、読んでいて引っかかることなくすーっと楽しさを抱いたまま読めてしまうんです。「読んでいて引っかかる」というのは、要は著者の考え方に違和感を持つってことです。私の場合そういうのを忘れてすーっと読めちゃう。

こちらを読んでいて、札幌の四季ってこうなんだーと新鮮でした。いかにこの手のものが書かれる舞台が東京中心に偏ってるかってことですよね。北海道の、昨日まで冬だったのに突然春が来て「桜、桃、ツツジレンギョウ、コブシなどがいっせいに咲き乱れる」なんて、すごく鮮烈な春って感じでいいなあ。

藤堂さんの日常生活での逡巡具合も共感しました。例えば犬のはなちゃんに療法食プラス好物の豆腐や卵の白身を食べさせるべきか否か、「こんなこといけないな」「もう仕方ないか」の二つに心が揺れているところに、「しかし、そこで、また思ってしまう。はなの食べ物のことにかぎらず、これまでの人生、いつだってそのくりかえしできたことを」なんて、そうかーそうだよな!と納得でした。

それから「60代もなかばをすぎ、食べたいものの大半は食べつくし」という文もなんだか好き。

ほどよく知恵と諦めがついた60代、私もこうなっていたいな、こうなってるんじゃないかな、なんて思いながら読みました。

 

男女七人秋物語

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1987年製作のドラマ。私が中学生の時か。youtubeに上がっていたのを、懐かしさを感じたくて見始めたら面白くて最後まで見てしまった。でも主役の良介と桃子…というか要するに明石家さんま大竹しのぶのシーンはだいぶ飛ばしちゃった。だってウザいんだもん!

ただ、周りを振り回してでも一緒になる必然性みたいなものはよくわかります。桃子もわがままで何でも人のせいにしてほんっとクソウザい人なんだけど、よく見てるとそのウザさが発揮されるのは良介の前が主で、他の人の前では意外と大人しくて気を使うんですよねw要するに、良介の前では甘えて心を開いてウザさ全開になっているんだなとわかるんです。

このドラマの見どころはやっぱり岩崎宏美演じる美樹さんですよね!男勝りでしっかりものなのに、好きな人の前だと途端に乙女になってしまうという。おせっかいのきらいもあるけど、めっちゃいい人で、あああ、このまま良介とカップルになって幸せになればいいのに~と思いますよ絶対!釣船店経営という設定もおもしろいですよね。

それから美樹の親友、一枝ね!見た目はもうこの時代の女の人って感じがする。ワンレン、ボディコンで。ちなみにこのドラマを見ると87年当時のボディコンって上品なんですよね。スカート丈もそんなに短くないし、あんまり体の線が出る感じではなかったのね。で、一枝の話に戻ると、ドラマ開始時しばらくは、すごいイヤなヤツなんですよ。自分からは男性を好きにならないのに、周りの男性はみんな自分のことが好きじゃないと気が済まないという困った人で、自分に振り向かない良介を誘惑して一夜をともにしたことを美樹に自慢して泣かせたりと。それが、ドラマ終盤になって、良介が美樹から離れて桃子に行こうというあたりの変貌ぶりがいいんですよ。いきなりしっかりしてきて美樹を支えはじめるんです。今までとちょっと立場が逆転しだすというか。私としてはこの女の友情が一番の見どころです!

あと、けっこう好きなのは、ひかると高木のカップル。ひかるは依存心が強くて優柔不断、高木は単細胞という性格なんだけど、それぞれの友達コミュニティにいるときの役割というか立ち位置が似てるんだよね。いまいち仲間の深刻な状況が理解できなくて、ボケたことを言うとかね。

『美人になる方法 運といい人を引き寄せる25のルール』

 

美人になる方法

美人になる方法

 

 美容法が書かれているのではなく、心の持ち方が書かれてます。「感謝の念を持とう」とか「言葉は現実化するから口癖に気をつけよう」とか自己啓発本の王道。そこに、美人になるための考え方プラス、ネット世界での身の処し方…悪いコメントはスルーしようみたいなtipsがプラスされています。

著者いわく、美人というのはバランスだそうで、突出する個性というよりも、平均的な体型、平均的な顔立ち、ポイントを押さえたメイク、ある程度のファッションセンスと持ち物、整った小綺麗な髪型。外見は以上を満たしておけばOKで(なんとなく安倍昭恵さんを思い出してしまった…)、8割の容姿の欠点があろうとも、2割の良い所を強調したり目立たせるようにすれば、人はなんとなく素敵な人だと認識するそうです。

著者の職業はメンタルコーチで、コーチング仲間との会話が登場していたのですが、そういう世界というか業界があるんだなと、そちらの方にも興味を持ちました。