『わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい』鴨居羊子

わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい (ちくま文庫)

下着デザイナーの第一人者。白くてだっさい下着しかなかった時代に、カラフルでかわいくて身につけて楽しくなる下着を作った人。下着メーカー・チュニックを築いた実業家…というすごい人なんだけど、このご本人のエッセイを読むと、全くそういう感じの人ではないの。ガスレンジの火を付けるのが怖かったり(わかる!それに昔のだから今のレンジよりも原始的でこわいのよ!)、経理とか事務仕事がすごく苦手だったり、動物が大好きで人間よりも野良猫や野良犬に友情を感じていたり、下着の営業に行ってイケズな応対をされてスゴスゴと帰ってきたり。強気なところもすごくあるんだけど、弱気になってしまうところも多々あって、それを無防備にさらけ出してるところがいいのね。強がらずに。武勇伝を吹聴して得意がるような人ではないの。

この時代に女性でセクシーな下着を作る会社を興したというと、自由奔放な人生のように見えるけれど、実は同居していた「お母さん」という道徳的な重しがあったというのも意外だった。私も実家で色々と母の目を気にしながら生活していたのを思い出して共感しちゃった。

ちなみに鴨居さんが活躍していたのは大阪。今回、私が大阪に旅行に行ったのにも、多少この本の影響があります。鴨居さんが歩いていた大阪を歩いてみたいなって。

 

 

大阪 赤ちゃん連れ旅行 三日目(5月6日の記録)

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朝食。予約時は素泊まりプランだったんだけど、やっぱり朝はホテルでまったりしたいということで、結局後から朝食を追加しました。ビュッフェ内容はまあ、お値段がホテルの朝食としては安め(1400円よく考えたらそれでも高いか)なのでそれ相応といったところかな。たこ焼きが冷凍食品ぽかったりとか焼き魚の感じとか。あと基本的に補充はされないんじゃないかな。とはいえ景色はいいし、広くてゆっくりできるのでまあいいかなと。

 

朝食会場でまったりしていたら、11時のチェックアウト時間が迫っていました。あわててシャワーを浴びて身支度して荷物をまとめました。

で、ホテルを出てシャトルバスで谷町四丁目駅へ。地下鉄で大日駅まで出てモノレールに乗り換えます。

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見えてきました太陽の塔!そうです、この日は万博記念公園にやってきました。実は当初、USJを予定していたのですが、ネット情報によると尋常ではない混み方だというので急遽ここに。結果的にこちらを選んで大正解でした。

万博記念公園駅には新しく出来た巨大なショッピングモール、ららぽーとEXPOCITYがあり、まずはこちらにあるアカチャンホンポで、残り少なくなってきた粉ミルクを買いました。

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アカチャンホンポと同じフロアにあるフードコートでお昼を食べようと思ったら、ものすごい混雑ぶりだったので、こちらのCNNカフェへ。何がどうCNNなのかっていうと…数台あるモニターでCNNを放送してることぐらいかなあ。しかも音声あまり聞こえないし。とりあえず他の飲食店のような激混みから逃れてのんびり。ホットドッグも美味しかったです。でもフードメニューはホットドッグ3種類しかありません。

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再び太陽の塔。この時すでに3時近くで、お目当ての国立民族学博物館は閉館5時なので、博物館へ急ぎました。

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民族博物館素晴らしかったです。充実している展示群、圧巻の情報量でした。撮影可なのも嬉しい。

私は他の国や地域の文化のことが書いてある本を読むのが好きなのですが、ここの展示物とその解説をいくつか見るだけで、新書1冊くらいの情報量があるのではないか…!あと、文化の良い面だけを取り上げるのではなく、その文化の影で虐げられている人々にもきちんと光を当てているのもいいなと思いました。それから、その文化が今の時代にどう変容しているのかもちゃんと取り上げられています。死んだ文化を紹介しているのではない。情報が生き生きしてるのね。

 

言語分布図。

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民族学的なパンの解説。

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 南アジア地域の食について。食は人と人とを結びつけると同時に、人と人とを分離させる側面も持つ。

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スイカ好きとして撮影せずにはいられません。

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アフリカ大陸。イスラームキリスト教の分布図。

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途中、赤ちゃんがぐずったので、広い休憩所で少し遊ばせてあげました。時間がなかったので行かれませんでしたが、エスニック料理が食べられるレストラン(広い!)やミュージアムショップもそそられました。

 

再びららぽーと

観覧車に乗って景色を堪能。

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ベビーカーはたたまずにそのまま乗せられますが、観覧車に乗り込む時は赤ちゃんをベビーカーからおろして抱っこすることになります。観覧車に乗る前に写真撮影をすることになりますが、写真がいらない人は「大丈夫です~」と軽く断ればOKです。うちもそうしました。

それにしてもららぽーとみたいな施設って赤ちゃん連れには助かりますね。特にここはアカチャンホンポがあるから、授乳施設、オムツ替え施設が大充実していたので、ここぞとばかりにミルクを作ったりオムツを変えたりと長居してしまいました。

夕食をとりにフードコートへ。賑わっていたもののランチの混雑ぶりは収まっていて、席は楽々確保できました。大阪っぽいものをということで、たこ焼き、ねぎ焼き、焼きそばを(確か万博セットとかそんな名前)。ねぎ焼きが、関東ではあまり食べたことのない味で美味しかったです。牛肉の風味というか、香ばしさが強かった。ここのたこ焼きはソースとかつけずにそのまま食べるんだって。塩焼きそばはふつう。

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のんびり夕食をとった後に「さて、モノレールと地下鉄を乗り継いで新大阪駅へ行くか」とここを出たのがたしか19時過ぎだったような。この後、万博記念公園駅から乗ったモノレールが支線というか、何か別の路線だったことに気づいて慌てて次の駅で降りてタクシーを拾おうとしたら、地上へ降りるに連れて人気のない真っ暗な駅だと判明。もちろんタクシー乗り場など期待できるはずもなく…。20時10分の新幹線に乗らなきゃいけないのにこの時すでに19時30分過ぎ。「詰んだ!」と覚悟しながらも、いやいやいやここで奇跡が!と火事場の馬鹿力ポジティブ精神力でタクシーを拾おうと道路を見ると、…なんと、なんとなんと、「空車」の赤い文字を光らせてタクシーが来るではないかっ!!ここで逃してなるものかと必死でぴょんぴょんジャンプしながら手を降ってつかまえました!乗り込んだら運転手さんが「なんや、遊んでんのかと思ったわー」と一言。そこで「実は20時10分の新幹線に乗るために必死でして…」と状況説明すると「そら忙しいですなあ」と。ここで無理だったら運転手さんも文句言われるの嫌だから「そら無理ですわ」と言うよなあ、それがなんか余裕ありげな感じだからきっと大丈夫な距離なのでは…。と、頭のなかで忙しくシュミレーションしながら必死かつ無言で乗っていたところ、19時40分すぎぐらいに道路標識やホテル名に「新  大  阪」の文字が!!やったあああああ、間に合ったあああああああ!!新大阪の駅前が近づくに連れ緊張も解け、運転手さんと二言三言世間話とお礼をしたあと、乗り場へと急ぎました!

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というわけで、いやー間に合いました。よかったよかった。今度は早めにどちらが前か後ろか確認してホームの列に並んでいたので、ベビーカーもしっかり荷物置き場に収めることができました。席ひろーい!命拾いした後の余裕な気持ちで「新幹線」「指定席」「乗り遅れ」を検索。指定席で乗り遅れたら、その日の自由席にその切符で乗ることができるんだそうです。

帰りの新幹線では赤ちゃんがなかなか寝ずに膝の上を這いずりまわるので、抱っこしてしばらくデッキにいました。体は大変だけど、デッキのほうが周りに気を使わなくていいので気持ちは楽でした。外の景色も見えるしね。

というわけで、楽しかった大阪二泊三日でした。いろいろと大阪ならではのところを楽しめたと思いますが、やっぱりなんといっても「みんな関西弁」っていうのが一番「ああ、大阪に来たあああ!」と思いましたw

 

 

 

大阪 赤ちゃん連れ旅行 二日目(5月3日の記録)

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ホテルからの眺め。大阪城の真ん前でした。大阪城公園はすごく広くて緑いっぱいで素敵でした。この後散歩します。

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朝食。ビュッフェ。洋食、和食両方あって、こういうときにふだんの私は洋食を選ぶのですが、今回は和食のほうが充実して美味しそうだったのでこういう選択に。甘くないだし巻き卵を食べると「関西に来たな」と感じます。ビュッフェにはたこ焼きもあります。

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大阪城公園を散歩。緑いっぱいで気持ちが良かった。昨日乗りそこねた水上バス乗り場へ向かいます。

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今日は乗れました!チケット売り場はすごく並んでいて、あーこれは1時間待ちかなあと思っていたら、周遊は満席だけど途中下車の人は乗れるとのことで、すぐ乗ることができました。ベビーカーたたんでデッキの方に置きます。隣の席の人が何か大事なチケットを無くしたとのことでずっとパニクっていました。「帰りのチケット」という話が聞こえてきたので、大阪から地元に帰る新幹線か飛行機のチケットだろうかと思っていたら、こちらの水上バスのチケットだったらしいです。ちなみに、水上バスのチケットは席についてしまえばあとは係の人に見せることもないので無くしても大丈夫です。

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ツイッターのタイムラインを見ていたら、フォロワーさんが中之島祭りに出店中とツイートされていたので遊びに行ってきました。今後3ヶ月のオラクルカード・リーディングをしてもらいました。なかなかよさ気な展開になりそうで良かった。おしゃべりもできて楽しかった。

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次に行ったのはここ。梅田スカイビル。眺めも建築も素晴らしかった!外国人観光客もたくさんいて、テレビクルーに取材されていました。例の「外国人は日本が大好き」みたいな番組なのでしょうか。

ベビーカーは行きと帰りのエレベーターではたたんでいきました。

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淀川の眺め。東京の川みたいに無粋な護岸工事が見られず、大きくてゆったりした川だなと思いました。トイレがきれいで充実していました。誰でもトイレもあったので、こちらでオムツ替え。

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下から見た梅田スカイビル。梅田駅に行って

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阪急電車に。初・阪急電車です!阪急の何線だったのか忘れてしまった…。

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車両が関東のよりも広い気がしたのですが気のせいかな。日除けのブラインドみたいなのがおしゃれ。

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芦屋川で降りて芦屋を散策します。『細雪』読者としてはテンション上がります!そういえば夙川も『細雪』に出てきましたよね。たしかこいさんのアトリエがあるところだったんじゃないかな。(帰宅後に谷崎潤一郎記念館の存在を知る)

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いい感じの川。『細雪』ではこの川あたりが氾濫したんでしょうかね。緑いっぱいで素敵な邸宅がたくさんあって、散策にはぴったりです。

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散策の目的地・六麓荘町。途中道を間違えたのもあるけど、芦屋川駅からここまでかなり歩きます(途中でやめようかと思ったほど)。邸宅に次ぐ邸宅、大邸宅に次ぐ大邸宅で、もうこの辺まで来ると大邸宅を見ても驚かなくなります。東京よりも邸宅街の層が分厚い!ここに比べたら田園調布なんてしょぼく見えますよ!

駅まで遠いし、お店も駅の方まで降りないとないし、住むには不便そうだけど、この辺の人たちはどうしてるのかも謎です。

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さて、大阪に戻って、今度はザ・大阪なところにやってきました。

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「串かつ・赤ちゃん連れ」で検索したお店に串かつを食べに行きます。たまたまくいだおれビルにありました。私もせっかくなので、くいだおれ人形を撮影。

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今回行ったのは、串かつ・しろたや。あの大食いのジャイアント白田さんのお店ということで「ああ、ちゃんこダイニング若みたいに名前だけのお店なのね」と思っていたところ、白田さんご本人がホール係として働いていましたwベビーカーで入りやすい席を用意してくれたので、気兼ねなく食事ができました。串かつ美味しかったです。

 

この日はたくさん歩いて疲れたので、タクシーでホテルに帰りました。

 

 

大阪赤ちゃん(9ヶ月)連れ旅行 1日目

5月4日

新幹線のぞみで品川から新大阪へ。初めての赤ちゃん連れ、しかも新幹線のチケットを取ったのは連休直前の券売機で慌てて取ったので、赤ちゃん連れに良い席とかの知識が全くありませんでした。ベビーカーを新幹線に乗せる時も、「後ろに荷物置き場がある」との知識を事前に得ていたのですが、乗車にアタフタしてその場所がよくわからず(車両の前から乗っていたようでした)結局、自分たちの席に持ち込むことに。三人席の通路側にはすでに他のお客さんが乗っていたので、まずは開いている後ろの席に行って、そこからベビーカーを持ち上げて自分たちの席におろしました。

それがこれ。

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赤ちゃんは、しばらく膝の上で動いたり回転したりしていたのですが、そのうちに寝てしまいました。

新大阪駅についたら、フードコートで串かつだるまに行こうと決めていました。で、だるまに行ったものの、狭いカウンター席で赤ちゃんを抱っこしながら食べていたので、撮影する余裕はなし。店員さんは気を使ってくれてよかったです。ベビーカーはお店のすみにたたんで置かせてもらいました。串かつは間違いのない美味しさ。

その後、環状線でホテルのある森ノ宮駅へ。このときの環状線の車両は、同じ電車なのに激混みのところと空いていて余裕のあるところの差が激しかった。先に来た環状線はすごく混んでいて、ベビーカーを乗せるのに躊躇してしまい見送り。空いている先頭(それとも最後尾だったかな)車両まで歩いて、次の電車に乗りました。今度は空いてました。

森ノ宮駅からKKR大阪はけっこう歩きます。駅からシャトルバスが出ているのですが、せっかくだからお散歩したいと歩いて行きました。フロントの人がとても感じ良かったです。部屋は狭くて古いのですが、大阪城公園の真ん前なので景色は素晴らしい。このとき赤ちゃんがベッドからダイブする事件が起きたので(鼻をすりむく)、それ以来はなるべくベッドではなく床で遊ばせるようにしてました。

大阪城付近から出る水上バスに乗ろうとしたものの、時間切れ。

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大阪城公園内をとぼとぼと歩いていると、餃子フェスの看板を発見。さっそく会場に入ってみる。

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会場内はかなりの人出。食べたい餃子のブースは本日売り切れとのことで、とりあえず行列の少ないところに並ぶ。

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餃子に牛すじカレーをかけたもの。美味しかったです。この後は焼き肉を食べる予定なので、これを二人でシェア。

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環状線に乗って次の目的地に移動。大阪の駅のエレベーターは東京のよりも動きが素早い気がします。

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鶴橋に来ました。

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焼肉屋とらちゃんへ。赤ちゃん連れということで2階のお座敷に。きれいなお店でした。ベビーカーはたたんで1階に置かせてもらいました。

ナムルを頼んだらいろんな種類が出てきました。味付けが上品で、それぞれに凝っていて美味しかったです。

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お肉はファミリーセットを注文。こちらも美味しかったです!色々食べてみたくて、冷麺やチヂミも頼んでかなりお腹いっぱいに。調子に乗って頼み過ぎました。冷麺とチヂミも美味しかったです。

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赤ちゃんはお座敷が楽しいみたいで動く動く。しかも掘りごたつから落下しそうなところとかお膳に頭をぶつけそうなところをウロウロするので気が抜けません。抱っこしながら肉を口に放り込む、赤ちゃんを抑えながらそのスキに冷麺をすする…という感じです。そういえば座布団が韓国っぽいデザインで可愛かった。

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鶴橋からホテルまで、グーグルマップを頼りに歩いて帰りました。

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お腹が苦しいと言いながらも、ホテルに帰って抹茶アイスを食べました。

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『ラテンに学ぶ幸せな生き方』

 

ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社+α新書)

ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社+α新書)

 

昨今のめちゃくちゃな政治(国会で野党の質問にろくに答えない政府、国民の財産の壮大な私物化、ファシズムやナチズムに向かってるんじゃないかという恐ろしさ)への無力感、絶望感に苛まれていたところに読み始めたこちらの本。

いやー、すごく元気になれました!

不安定な政治状況や日本以上の格差社会であるのに、自殺率は日本よりも遥かに低く幸福度も高い。それはやっぱりそれぞれの人に「生の肯定」という意識がしっかり根付いていることだと思った。枝葉の部分が多少いい加減でも、この根っこが太ければ、人間は強く幸せに生きられて、またそれが本来の生物の姿なんだろうな。

いまの日本社会はこの大前提がかなり失われていますよね?私自身も、以前はちょっとしたことで「私なんてなんで生まれてきたんだろう」「なんで私なんかが生きてるんだろう」「生きてる資格がない」なんてくよくよしてました。ちょっとした躓きから、どうして生の否定なんていうところに飛躍してしまっていたんだろう。あとは10年前くらいかな、話題になった「なんで人を殺してはいけないの」論争も、この「生の肯定」という大前提を見失っていることだと思いました。

こういうのは言葉で説得するというよりも、私自身が生を肯定して生きることが大事になるのかなあ。

こちらの本に書いてあった、家族や親しい人同士で愛情表現をマメに交歓しあうこと。いつも褒める。しょっちゅうハグをする。これはぜひ実践したい!

ちなみにラテンアメリカ社会では、日本でよく言われる「産んで欲しいなんて頼んでない!」「なんで産んだんだよ!」みたいなことを母親に言うというのはまず考えられないそうです。こういうことを言ってしまうというのは、親に甘えているというのもあるんだろうけど、なにか親からの愛情をいまいち信頼できなかったみたいなところもあるのかなあ。なので、私はぜひ息子を抱きしめて「あなたがいて嬉しい」「大好き」とたくさん言おうと思います。

日本以上に生活の苦しい人が多いラテンアメリカなのに、日本ほど自殺者が多くないという理由には、上記のような「生を肯定する」意識がしっかりしていることと、それから湯浅誠さんがよく言っている「ため」があることも大きいように思いました。「ため」とは、困難にぶち当たった時の家族や友人のサポートというのかなあ。金銭以外のセーフティネット。それが日本よりも分厚い。頼り頼られる関係がもっと寛容。ふだんから親族や友人たちが互いの家に行き来しているので、家に家族以外の人が来ることに慣れている。だから失業して住むところが無くなった友人が転がり込んできても、日本でイメージするほどのストレスはないよう。

この「家に社会性がある」というのは、子どもの引きこもり防止にもなっていて、ラテンアメリカ社会では、日本みたいに子供部屋がものすごく散らかっていることはほとんどないんだそうです(ちなみに私もそういう荒れ狂った子供部屋に住んでました)。それは部屋の監督はあくまで本人ではなく親であることがはっきりしていて、本人以外の家族が出入りするのが前提、そしてお客さんが泊まるときには子供部屋を明け渡さなくてはいけない。日本みたいに子供部屋にプライバシーがないんですね。プライバシーが欲しかったら、大人になって自分で稼ぐようになってからしなさいということ。これいいなあと思った。

政治や経済が不安定な中で幸せに生きるコツは、どんな状況でも楽しみを忘れない、「状況はどんどん変化するものだ」という人生観を持つことのよう。日本と違うのはそれが個人の世界に閉じこもったりシニカルにならずに、外の世界や社会に関わっていく積極性をちゃんと持つことなのかなあ。

あと、子育てというか息子さんに教えられたらいいなあと思ったのは、女性に優しくするとか女性をエスコートすること。ラテンアメリカ社会では、男の子も15歳位になるとそれが自然に出来てくるそうで、日本でもこの習慣は身につけて損はないのではと強く思いましたw 一見似たように見える男性が二人いて、片方は女性が重い荷物を持っていたら気軽に持ってあげたり、ドアを開けてあげるみたいなことが身についてる、片方はそうではない、としたら、この二人の人生って大きく変わるんじゃないかと思って。

『聡明な女は料理がうまい』桐島洋子

 

聡明な女は料理がうまい

聡明な女は料理がうまい

 

 いま妊娠中の半病人みたいな感じでひいひい言いながらなんとか暮らしているので、桐島洋子のこの溢れるバイタリティが眩しい。人生に対するやる気と食に対するやる気が本全体からみなぎってます。

もちろん、美味しそうな「あ、これやってみたいな」というのもたくさんありましたよ。私がここでメモしておきたいのは、サラダのドレッシング。

油と酢のほかには塩とこしょうがドレッシングの基本だが、私はそれだけではサッパリとしすぎていていささか物足りず、刻んだ玉ねぎやパセリ、すりおろしたにんにくを加えてかなりこってりと強烈なドレッシングにする

これやってみたいね。ドレッシングといえば、高峰秀子の料理本に、ドレッシングにタバスコを入れると美味しいとあったので、それ以来いつも入れてる。今度はここに、刻み玉ねぎやパセリやすりおろしニンニクを入れてみよう。サラダがすごくおいしくなりそう。

マッシュルームの白ぶどう酒煮も私の好物の一つ。石づきを切って濡れ布巾で拭ったマッシュルームをスライスし、強火で1~2分サッとバター炒めして皿に上げ、あいたフライパンにこんどは玉ねぎの薄切りを入れ、弱火でゆっくりとやわらかくなるまで炒める。そこへ白ぶどう酒をひたひたに注ぎこみ、月桂樹の葉も入れて、ぶどう酒が半分ぐらいになるまで煮つめる。そこへどけてあったマッシュルームを戻し、塩と胡椒で味を整え、5分ほどさらに煮詰めてから、皿に盛り、刻んだパセリをふりかける。

これも付け合せに良さそう。

あとはやっぱり出てくる会話が面白い。「まるで山小屋じゃない。あなたねえ、女の三十代なんて、もう少し優雅であるべきよ。それにあなただって男友だちの一人や二人はいるんでしょ。男友だちが遊びにくれば、夜中にハタと空腹を覚えるような事態も発生しうると思うけど」

「才たけた女性は必ずよい料理人であるという私の持論を、わが有能な仲間たちは、あなたを除いてはだれひとり裏切っていないのよ。どうもこの例外は目ざわりで困るんだなあ。あなたも遅ればせながら勉強して料理人の列に加わってほぢいわね。高年初産婦みたいなものだからちょっとシンドイけどさ、あなたのインテリジェンスをもってすれば、そのへんの花嫁修業の女の子なんかに負けやしないわよ」

「だけど、初めからこんな所帯じみたアッパッパ料理につきあっちゃダメ。ビギナーズ・ビ・アンビシャス、記念すべき処女作は、アッと驚く大ごちそうであるべきよ」

ちょっと木嶋佳苗欲求不満ブログを思いおこさせるけど(ていうか、こっちが明らかに先達だから向こうがマネしてるのか)こういう会話がポンポン出てくる日常ってすごい。

気持ち悪い気持ち悪い

今日の夕方、急につわりになった。

まだ少し気持ち悪さが残っている気がする。

お腹も出てきたし、もう妊娠に次ぐ妊娠で(といっても二人目だけど)、もとの体型とか正常時の体調とかがよくわからなくなってきた。なんなんだよもうさ、子どもの可愛さとはまた別に、こう妊娠時の常に体調が悪いみたいなのって辛いよねー。女って本当に損だと思うわ。男なんてつわりの苦しみも陣痛の痛みも分娩の死にそうな思いもないものね。それなのに子どもが手に入るなんて、あんな楽なのないわ。

…と体調の悪さに任せて書きなぐりました。