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市橋達也 『逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録』

ルーシーさん殺害事件のことはいったん離れて、著者の「取り返しのつかないことをして逃げている」ところを追体験する感じで読みました。


印象に残っている場面をいくつか上げていこうと思います。

まずは逃げはじめの郊外や田舎の方を歩き回っているところ。
田舎ののどかな空気の中に「部外者感を感じながら身を置く」ことは私自身にもおぼえのある感覚だと思いました。平和でのんびりした空気に好感を持ちながらも、自分がそこに身を置くことには違和感をおぼえるような感じ。
私自身はいつもそう感じるわけではないのですが、そのときの心の状態によってはそういう平和な光景をよそよそしく感じることがあります。

それから、何回目かの離島行きで、仔猫に懐かれてつれていくくだり。
読んでいて、切ないような心なごむような感情を刺激されました。
ただ、一方で「よくできすぎてる。嘘かもしれないな」なんて思ったりもしました。
著者が殺人事件の被告ということから来る私の先入観です。


それからこの本は、着の身着のまま放り出されたときにどう生きていくかのサバイバル本としても読めると思いました。飯場で日雇い仕事をするときのサバイバル術(めんどうな人間関係の避け方など)でもあるし、離島でのサバイバル術でもあります。

特に島での暮らしは最初の島暮らしで挫折して、その後、図書館で食べられる植物とかアウトドアの知恵を学習して再チャレンジするところに感心しました。

ただ、読んでいて、本に書けないこと・書いてないこともたくさんあるんだろうなと思いました。
それから、逃亡生活は想像を絶するストレスがかかることが改めてわかりました。


読みやすくて面白い本でした。
退屈しないであっとうまに読み終わりました。