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再現フィルム症候群

わかりやすい答えを求めることを「再現フィルム症候群」と名付けた。

殺人事件や自殺などが報道されたときの街頭インタビューで、しばしば「真実が知りたい」と答えてしまう人たちがいる。メディアの切り取りや誘導的な質問であることも考慮に入れなければいけないが、この「真実を知りたい」というのはなんだろう。

他人や自分を殺すという極限の状態での本当の真実とはなんだろうか。私は「そんなの本人にもはっきりと一言で言えるものではないんじゃないだろうか」と思う。

でも、その前に「真実」というのが何かを考えてみることにする。
もちろん、辞書的な意味ではなく、事件に関係のない人が「真実を知りたい」と言ってしまう時の「真実」のことだ。

そこで街頭インタビューなどで人が「真実を知りたい」と言うとき、その人は何を期待しているのかと想像してみることにした。するとそれは、もしかしたら再現フィルムみたいなものを思い浮かべているのかもしれないと思い至った。

再現フィルムとは、報道番組やバラエティ番組などで事件の概要を数十秒から数分程度にまとめたVTRだ。適当に感情移入ができて、万人が納得の行く理由があり、加害者は悪人はらしく被害者も被害者らしい。大体はわかりやすいストーリーでできている。

それを前提に今一度「真実を知りたい」の場面を思い出してみる。テレビ画面の向こうで口にされてる「真実」のトーンは軽い。やはり、とりあえずは再現フィルムのような収まりのよいストーリーが知りたい程度のことなんだろうと、自分では納得した。

ただ、私の考えでは、もう少し「世の中そう簡単に割り切れるものばかりではない」という考えが広く共有されていた方がバランスが取れると思う。



※再現VTRより再現フィルムの方が語呂がいいのでこちらを採用することにした。
※この記事で言及したのは事件に関係のない第三者が求める真実のことだ。