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『貨幣という謎 金と日銀券とビットコイン』

 

「お金」というのは集団的な約束事にすぎない。いわば皆で持ち合っている幻想のようなものなのに、なぜ自然現象や物理現象のようにされていて、そんな集団幻想のようなもので自殺する人が出てきたり自然が破壊されていくのか。それに納得ができず、そのあたりの答えやヒントを得られそうな本を探しては読んでいます。

こちらの本はそんな私の疑問にはっきり「そうだ、お金は幻想にすぎない」と答えてくれました。この本の言葉できちんと言うと「観念の自己実現」だそう。もう少し引用すると「人々が同じようなことを考え、一斉に同じ方向へと動いてしまうと、それによってある観念が現実のものになる。非現実な観念といえども自分自身を支え持ち上げてしまうという事態」とのこと。

ただの印刷された紙に過ぎない一万円札がちゃんと使えているというのは、皆で「これには価値がある」と思い込んでいるからに過ぎません。ただ、こういった「観念の自己実現」はこの紙幣のことだけを取り上げていれば胡散臭いものと思ってしまいますが、皆が何かにリアリティを持って思い込む(信頼する)ことをしなければ、車や電車で移動することや毎日職場に行くことなど、社会生活自体が成り立たなくなってしまう。ということに気がつきました。

とりあえず、お金は「もの」ではなくて「こと」というのかな、情報をやり取りするメディアのようなものだということがわかりました。

それから、バブルについての説明も、投資や株にあまり知識のない私でもわかりやすく読めました。人間は大昔からバブルの愚をおかし続けていることと、世代が変わってその人自身にバブルの経験がなければ、バブルの危険性をどれだけ説いたところであまり効果がないということも勉強になりました。

資本論』の著者マルクスは「商品を分析することで資本主義社会の構造が解き明かせる」としていたけど、『貨幣という謎』の西部さんは「貨幣がわかると経済がわかる」という考え方です。また「市場は貨幣が作っている」ので、現行の貨幣で運営されている市場は多くの危険をはらんでいるものの、貨幣を替えるあるいは違う貨幣システムを持つことで良い未来が作れるのではないか、と書かれていました。

そうそう、あともう一つ私がお金に関して持っている疑問が「なぜお金が世の中に発生するときに必ず借金の形をとるのか」というものです。こちらの本では特にそこについては触れられていなかったので、また答え探しの旅を続けたいと思います。