『されど“服”で人生は変わる』 齋藤薫さんの合理主義

 

されど“服”で人生は変わる

されど“服”で人生は変わる

 

 久しぶりに齋藤薫さんの本読んだ。昔、『ヴァンテーヌ』とか確かヴァンテーヌの別冊から始まったメイクアップ…タイトル忘れてしまった、そんなようなタイトルのメイク雑誌の齋藤さんのコラムを教科書のように熱心に読んでたのを懐かしく思い出した。

齋藤薫さんの好きなところは、おしゃれに対して合理的で結果主義なところ。当時の美容系の記事でも、やたら手間のかかるお手入れやメイクの工程を「結局、きれいになればいいんでしょ?」とばかりに大胆に省略してしまうところ。今でこそ当たり前のようになっているけど、たぶん当時としては斬新だったと思う。

そんな齋藤さんの合理主義は本書でも発揮されている。例えば豹柄みたいな派手なアイテムを着たとして、大して印象に残らない感じになっちゃったら、全く意味がない効率の悪い派手さになってしまう、とか。私はあまり派手系アイテムは持ってないけど、もし「今日は派手なかっこしてきちゃったな」とドキドキしながら着ているのに、ぼんやりした存在感のなさだったらそりゃあすごい無駄ですよね。

私の、自分自身を「こう見せたい」という思いと、本書で提唱されている「こう見せよう」というものが重なっていたので共感しつつ読んだ。それは「頭がよく見えて」「気遣いしてる感じが窺えて」「痩せて見える」というもの。いままで漠然としていてそこまではっきり意識していなかった「自分をこんなふうに見せたい」というのが、この本を読むことを通して明確になった感じ。これだけで読んだかいがあった!これで服選びに迷いがなくなるかな…。

おしゃれというのは運動神経のようなもので、その神経が発達している人は、即座に服装のバランスの良し悪しがわかったりする。

そこまでファッション運動神経が発達していなくても、以下に紹介する方法で鍛えることが可能だそう。それは町行く人を勝手にファッションチェックすること。基本的には失礼なことだから口に出したりSNSに投稿したりはやめておきたい。あくまで心の中で。で、素敵な人だったら、どこがどう素敵に思わせるのか、逆になんかヘンな人だったらどこが間違っているのかをその場で解析する。数をこなしていくうちに良し悪しのキモが見えてくるんだって。うん、これは確かに鍛えられそう。そしてそれを自分に反映させていくと。

あと実行したいなと思ったのは、雨の日用に完全無欠のコーディネートを作っておくこと。確かにどしゃぶりの憂鬱なときに濡れても大丈夫でしかも着ていて楽しくなるようなポップな感じの一式があったら楽しそう。

微妙に気になったのは、例えに出す有名人がどことなく古い(松嶋菜々子とか神田うのとかアンジェリーナジョリーとか…って神田うのさんって同世代でもあまりファッションアイコンという感じではないけど)ところだったんだけど、これはもう齋藤薫さんの年齢からして仕方ないのかもしれない…。