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『独女日記3 食べて、忘れて、散歩して』

 

独女日記3 食べて、忘れて、散歩して

独女日記3 食べて、忘れて、散歩して

 

 やっぱりいいわ~このシリーズ。

札幌のマンションでヨークシャーテリアのはなちゃんと暮らしている作家の藤堂志津子さんの身辺雑記。私が60代になる頃ってこんなふうな考え方をしているんじゃないかなあとか、図々しくもそんなことを思いながら読んでます。愉しみや迷いの感覚にとても共感を覚えて、読んでいて引っかかることなくすーっと楽しさを抱いたまま読めてしまうんです。「読んでいて引っかかる」というのは、要は著者の考え方に違和感を持つってことです。私の場合そういうのを忘れてすーっと読めちゃう。

こちらを読んでいて、札幌の四季ってこうなんだーと新鮮でした。いかにこの手のものが書かれる舞台が東京中心に偏ってるかってことですよね。北海道の、昨日まで冬だったのに突然春が来て「桜、桃、ツツジレンギョウ、コブシなどがいっせいに咲き乱れる」なんて、すごく鮮烈な春って感じでいいなあ。

藤堂さんの日常生活での逡巡具合も共感しました。例えば犬のはなちゃんに療法食プラス好物の豆腐や卵の白身を食べさせるべきか否か、「こんなこといけないな」「もう仕方ないか」の二つに心が揺れているところに、「しかし、そこで、また思ってしまう。はなの食べ物のことにかぎらず、これまでの人生、いつだってそのくりかえしできたことを」なんて、そうかーそうだよな!と納得でした。

それから「60代もなかばをすぎ、食べたいものの大半は食べつくし」という文もなんだか好き。

ほどよく知恵と諦めがついた60代、私もこうなっていたいな、こうなってるんじゃないかな、なんて思いながら読みました。