『フランダースのイモ!』意外と知らないベルギーの食文化

フランダースのイモ!

おもしろかったー!なんとなくタイトルが目について手にとってみたらこれが大当たり!私の好きな外国食文化モノです。で、こちらはベルギー。ベルギーというとヨーロッパということはわかるわな。それでなんとなく、その国の人はフランス語をしゃべっていてチョコレートとかワッフルが名物で、あとファッション誌なんかでアントワープという地名をたまに見るなあという程度の知識でしたが、こちらの本で色々と知らなかったことが追体験できました。

著者の山口潔子さんは、香港でベルギー人の夫と暮らしています。ベルギー食文化に行くまでの、山口さんと旦那さんとの馴れ初めや、山口さんが京都で学生生活を送っていた時のこだわりの自炊話や間取り図イラストがまた楽しかった。本の画像の帯に関西人ヨメとあるけど、文章のお笑い具合が、関西弁こそつかってないけどリズムもあって面白い。

夫婦にとって第三国である香港での結婚という、手続き的にものすごい困難さを乗り越えてやっと始まった共同生活。外食文化の盛んな香港だから度々外食もして気軽な食生活を送るのかと思いきや、旦那さんは揺るぎないオウチごはん派。そして微妙に料理の勘を外した潔子さんの料理を食べた結果、こちらの夫婦では旦那さんが料理担当となり、故郷のフランダース料理を作るというスタイルが出来上がる。

そして、旦那さんの大好物&得意料理のチコリのグラタン(ゆがいたチコリをハムで巻いてホワイトソース、チーズをかけてオーブンで焼く。チコリはセロリの茎で代用可。ハムは練り物系ではなく肉感のあるもので)の紹介から始まって、ベルギーの美味しいパン、なのにメインディッシュと一緒に食べるのはジャガイモであってパンではないという不思議さ、日本人女性の「家でパンを焼く行為」に感心するどころかなぜか「そんな大変なことまでしなきゃいけないの?かわいそうに」と憐れむベルギー人、色々な味を少しずつ味わうことを嫌い、同じ味付けのものを大量に食べることを好む、国民的食べ物ポテトフライ、意外と堅苦しい社交生活、来客前の熱狂的な掃除などなど、とっても楽しく読みました。山口さんのイラストも美味しそう。