『アメリカは食べる。アメリカ食文化の謎をめぐる旅』

 

アメリカは食べる。――アメリカ食文化の謎をめぐる旅

アメリカは食べる。――アメリカ食文化の謎をめぐる旅

 

 nキーが使えなくなったパソコンですが、結局、iPadではなく、その不便ばパソコンで書いてます。だって、iPadからだとこのはてなブログが満足に更新できないんだものー!本文を書き終わってアップしようと思ったら、通常は左下に出てくる「公開する」ボタンが表示されないの。なので今はnキーだけキーボードではなく、スクリーンキーボードで打ってます。はっ、もしかしてiPadChromeアプリを入れてそこから更新すればいいんだろうか。

というわけで、本題です。

こちらの本が本当に素晴らしかった。分厚いんだけど、どんどん読んじゃった。東理夫さんという方が著者なんだけど、戦後の昭和に子ども時代を過ごしている方のわりに、子どもの頃に家で食べたものの定番が「パンフライドチキンとマッシュドポテトにグレイヴィソースがけ、それに人参の茹でたものとほうれん草のバター炒め」という「ん?」となるメニューなのね。ご両親とも日本人でハーフというわけでもないようだし…。で、読み進むうちに、どうもご両親がカナダで生まれ育った人たちだということがわかってくる。東さん自身は満州で生まれ、戦後の引き上げ以来日本で育っているんだけど、お家の中では食生活を始め北米の習慣を引き継いでいるらしいこともわかってくる。

こういった、時折はさまれる東さんの個人史と共に、メインテーマであるアメリカ食文化や各文化のルーツ、さらには「アメリカ人をアメリカ人たらしめるものは何なのか」「移民だった彼らがいつどのようにアメリカ人になっていくのか」を食から考察していきます。

これは論文ではなくエッセイで、これ私の単なる思い込みでエッセイというとちょっと軽い読みものというイメージがあったんだけど、いやいやすごい重厚感ある一冊。しかも読んでいて楽しいというか、読む喜びがずーっとあるから、重要な知識やアイデアに触れながらも、どんどん読み進んで行ってしまう。

東さんのアメリカ食文化をめぐる旅は、ふだん私たちが触れることが多いニューヨークやロサンゼルス、ハワイといった海に面したところよりも、内陸部の方が多い、確かに広いアメリカ、その多くは海に面していない地域だものね。読んでいる私もその内陸部のハイウェイを車で飛ばしてアメリカらしいレストランやダイナーで食事をして、ハイウェイ沿いのモーテルに泊まって、アメリカらしいパンケーキとシロップと卵料理の朝食をとって旅をしている気分になります。

この旅の話で面白かったのは、単調なハイウェイの旅をしていると、マラソンの集団のように、ほぼ似たようなリズムで移動する車の集団ができてくるというもの。車で飛ばしてもだいたい似たような速度になるし、立ち寄るモーテルやレストランも、そう選択肢があるわけじゃないから、だいたい似たようなところになる。だからしばらくは道路やモーテル、レストランで会う顔ぶれがだいたい一緒になり、孤独な旅の中、ちょっとした連帯感のようなものが生まれる、という話。言われればなるほどと思うけど、聞かないと永遠に気づかないようなちょっとした話なんだけど、私はこれ妙に印象に残ってる。いい話。

あと、こちらの本ではあの永遠の謎「アメリカの食はなぜマズイのか」についても非常に納得できる答えが書かれています。あんなに豊かな国なのにね。

それから「アメリカ食をアメリカ食たらしめている決定的なある食材とは」「イギリスの食とアメリカの食との決定的な違いは」という考察もめっちゃ納得できました。