『冠婚葬祭のひみつ』常識だと思っていた葬式・結婚式のマナー、実は…

 

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

 

 いやー面白かった!図書館から借りてきた本だけど、これ買うわ!買って周りに配る!

冠婚葬祭の本というと、たいていは実用書になりますが、こちらは今その実用書などで流布されている「冠婚葬祭の常識」自体を俯瞰したものです。いま常識とされている「マナー」が、実は大した根拠もないのに、過去のマナー本から引用・抜粋しているだけで、それを伝言ゲームのように繰り返してるうちに、もはや根拠も不明なまま定着しちゃっている。

結婚式、葬儀、それぞれ江戸時代ぐらいのものから、チャペル挙式や家族葬といった今どきのカタチまで網羅されていて、その流れが面白くてスイスイ読める。

結婚式の方は単純に読んでいて面白い感じだったけど、葬儀の方は面白さに加えて実用的な対策なども充実していてすごく良かった。だって結婚式はそもそも結婚しない人もたくさんいるし、結婚したとして式はあげない選択もあるけど、葬儀の方は誰もが当事者として巻き込まれるものだからね。私が「これ素晴らしい!買って配りたい!」と思ったのも、こちらの葬儀編の方を読んでから。

今の私が「あ、これはぜひやってみようかな」と思ったのは、お通夜で香典を渡すときに香典袋の中に「香典のお返しはご不要です。どうぞお気を使わずに」と一言添えるというもの。著者の斎藤美奈子いわく、葬儀で「こんなもの要らない」と思う筆頭が香典返し。「費用もばかにならないし、お返しを期待して香典を出す人など誰もいまい(いても無視していい)。ただでさえ悲しい思いをし、医療費や入院費がかさんでいる遺族に、これ以上無駄な出費を強いてどうする」と。でも、遺族から「香典返しいらないよね?」とは言えないので、香典返しの廃止は参列者の側から働きかけてはいかがでしょう、というもの。これすごく共感したなあ。私もぜひそうしてみる。