『聡明な女は料理がうまい』桐島洋子

 

聡明な女は料理がうまい

聡明な女は料理がうまい

 

 いま妊娠中の半病人みたいな感じでひいひい言いながらなんとか暮らしているので、桐島洋子のこの溢れるバイタリティが眩しい。人生に対するやる気と食に対するやる気が本全体からみなぎってます。

もちろん、美味しそうな「あ、これやってみたいな」というのもたくさんありましたよ。私がここでメモしておきたいのは、サラダのドレッシング。

油と酢のほかには塩とこしょうがドレッシングの基本だが、私はそれだけではサッパリとしすぎていていささか物足りず、刻んだ玉ねぎやパセリ、すりおろしたにんにくを加えてかなりこってりと強烈なドレッシングにする

これやってみたいね。ドレッシングといえば、高峰秀子の料理本に、ドレッシングにタバスコを入れると美味しいとあったので、それ以来いつも入れてる。今度はここに、刻み玉ねぎやパセリやすりおろしニンニクを入れてみよう。サラダがすごくおいしくなりそう。

マッシュルームの白ぶどう酒煮も私の好物の一つ。石づきを切って濡れ布巾で拭ったマッシュルームをスライスし、強火で1~2分サッとバター炒めして皿に上げ、あいたフライパンにこんどは玉ねぎの薄切りを入れ、弱火でゆっくりとやわらかくなるまで炒める。そこへ白ぶどう酒をひたひたに注ぎこみ、月桂樹の葉も入れて、ぶどう酒が半分ぐらいになるまで煮つめる。そこへどけてあったマッシュルームを戻し、塩と胡椒で味を整え、5分ほどさらに煮詰めてから、皿に盛り、刻んだパセリをふりかける。

これも付け合せに良さそう。

あとはやっぱり出てくる会話が面白い。「まるで山小屋じゃない。あなたねえ、女の三十代なんて、もう少し優雅であるべきよ。それにあなただって男友だちの一人や二人はいるんでしょ。男友だちが遊びにくれば、夜中にハタと空腹を覚えるような事態も発生しうると思うけど」

「才たけた女性は必ずよい料理人であるという私の持論を、わが有能な仲間たちは、あなたを除いてはだれひとり裏切っていないのよ。どうもこの例外は目ざわりで困るんだなあ。あなたも遅ればせながら勉強して料理人の列に加わってほぢいわね。高年初産婦みたいなものだからちょっとシンドイけどさ、あなたのインテリジェンスをもってすれば、そのへんの花嫁修業の女の子なんかに負けやしないわよ」

「だけど、初めからこんな所帯じみたアッパッパ料理につきあっちゃダメ。ビギナーズ・ビ・アンビシャス、記念すべき処女作は、アッと驚く大ごちそうであるべきよ」

ちょっと木嶋佳苗欲求不満ブログを思いおこさせるけど(ていうか、こっちが明らかに先達だから向こうがマネしてるのか)こういう会話がポンポン出てくる日常ってすごい。