『ニュータウンは黄昏れて』垣谷美雨

 

ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

ニュータウンは黄昏れて (新潮文庫)

 

 もともとは母から「最近すっごく面白い本読んでね!」と興奮気味に垣谷美雨さんの『定年オヤジ改造計画』を紹介されたのが本書を読むきっかけ。

定年オヤジ~の方は、会社を退職したエリート高齢男性が息子夫婦の孫の面倒をみていくお話。母も時折り孫の面倒をみるを身なので、小さな子どもや保育園の描写とか「わかるわかるー!」の連続ですごく面白いらしい。また、それが単に個人のエピソードに終わらず、国の政策によって保育が母親に過重に押しつけられてきたことなんかも書かれているとのことで、私も俄然読みたくなり、垣谷美雨さんの本を色々と探してみた。

で、先に手に入ったのがこの『ニュータウンは黄昏れて』だったので、まずはこちらを読み始めたら、期待通り面白くてやめられない。途中、読書のジャンルはだいぶ違う夫も面白いってもっていきました。

バブル時代のすごく値段の高かったときに駅から遠く離れた分譲団地を買ってしまった人の話。50代のパート主婦と20代後半のやっぱりアルバイトしている娘の話が主軸。もうリアルリアルリアル。いろいろともう身につまされる感じ。

きつい住宅ローン、不動産屋の甘言、売るに売れない住まい、これだけ仕事をしているのに信じられないくらい安い給料、それなのに容赦なく取り立てられる奨学金ローン。

でもこれってもう個人の努力でなんとかできる話じゃないよね?明らかに政策の失敗が押しつけられているよね?そういうメッセージもすごく感じられてとても共感しました。

前半は読んでいてちょっとブルーになるものの、そこにどんな展開が起こって、終盤はどう巻き返していくか!私は読んだあとに元気づけられました。自分の等身大で、前向きさを忘れず生きたい思いが湧いてきました。