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近代ナリコ『本と女の子 おもいでの1960-70年代』

本と女の子 おもいでの1960-70年代 (らんぷの本)

本と女の子 おもいでの1960-70年代 (らんぷの本)

表紙の可愛さに思わず手にとってしまいました。
1960、70年代の女の子の本の文化が紹介されている本です。

正直言って、私はここに紹介されていた本は全く評価していませんでした。
宇野亜喜良のイラストなんて、暗い部屋でふいにフランス人形を見たときのような不気味さですし、70年代風のメイクを施した外国人モデルが映っているソフトフォーカスの写真も昔の古本屋の隅にあるポルノみたいで怖かったし、投稿ポエムだって失笑としかいいようがないと思っていました。

そこに近代ナリコさんが愛情あふれる光を当てて輝かせています。私が見ていなかった或いは見ようとしていなかった魅力や、当時の作り手や読者の気持ちに気がつくことができました。

本書を読んで知ったこと、印象に残ったところをあげていきます。

・サンリオは前身である山梨シルクセンターの頃からしばらくの間、出版を手がけていたことがあった。がっつりとした読み物というよりは、詩集など好きなときにちょっと読んだりできるもので、眺めたり持ち歩いたり部屋に飾ったりというモノとしての楽しみ方に重点を置いたものだった(電子書籍と対極にある感じ)。
出版は社内で反対している人も多く、出版の担当者は社内で厳しい立場で返品がくるたびに胃が痛んだそう。

新書館フォアレディースシリーズ。本書に紹介されていた本を見ると、上記のサンリオの出版物をもう少し大人っぽくした感じのようでした。ここでは寺山修司が読者から投稿された詩を選んで載せる企画があり、選考の過程で読者の詩を添削したりアドバイスしていたそう。寺山さんは青森にいたころに投稿少年だったそうで、自身が売れっ子になってからも、投稿してくる読者への面倒見が良かったそうです。いい話だ…。

・雑誌『新婦人』は生け花の家元である池坊の東京支部が出版していた。一応、生け花がメインテーマなんだけど、編集者は「生け花には美術や芸術の素養も必要」だと、澁澤龍彦の連載など実験的で面白い記事をたくさん載せてたんだそう。その活動は出版や美術業界では評価されていたけど、京都の池坊本部ではほとんど無視状態だったとか。

・甲斐みのりさんと近代ナリコさんの対談。甲斐みのりさんは『京都おでかけ帖』などのいかにも女の子が好きそうな乙女なセンスの本を手がけているのですが、もともとは「マッチ箱とか包装紙とかを作っていれば幸せ」な方なのだそう。本を作り始めた動機に「マッチ箱を作っていますと自己紹介すると、???という反応をされるけど、本を出していますというと皆すごく納得してくれる」という趣旨のことを仰っていて、すごくわかると思いました(笑)

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60〜80年代はじめぐらいまでの雑誌や出版の作り手側のお話を聞くのが大好きです。日本のポップカルチャーの黎明期に工夫しながら手さぐりで作り上げていくところは、こちらまでクリエイティブ欲に火がつき、読んでいて元気になります。