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『きのう何食べた?』 から見る食べる側の仕事

きのう何食べた?』 のことは以前も記事にしましたが、読み返してみてまた気づいたことがありました。

その前に『きのう何食べた?』について触れておくと、マンガ雑誌「モーニング」に連載されている料理マンガで、主人公は弁護士の史朗と美容師の賢二のゲイカップル。料理の担当は主に史朗です。

きのう何食べた?』 では例えば『美味しんぼ』のように「いかに美味しいものを作るか」だけを追求するわけではありません。日々の夕食の支度がテーマですから、なるべく安く、余計な手間をかけず、カロリーも抑え目で、副菜とのバランス、昨日と明日との献立の兼ね合い…などなど美味しさと同時進行で色々なことを考えなくてはいけません。この、ふだん料理をする人の細かな気苦労がよく描かれているのが、このマンガを読んでまず心惹かれたところです。

で、今回は作る側ではなくて「食べる側」にスポットを当ててみたいと思います。

きのう何食べた?』において、美容師で仕事の時間帯が遅い賢二は、帰宅したら史朗が用意した夕食ができていて、それを史朗と一緒に食べるだけです。

でも、賢二を見ていると「食べる側にも仕事がある」ということがわかります。

食べる側の仕事というのは、まずはちゃんと味わって食べること。そして「日々料理をする人の細かな気苦労」に気づいてねぎらってあげること。賢二は天真爛漫に出されたものを食べているだけのようですが、そこのところが実によくできています。例えば健康を考えて野菜を取り入れてくれたらしいこととか、味が偏らないようにしてくれているらしいこと。こういうことをちゃんと汲み取って口に出す。時には、料理が思うようにいかずに落ち込んでいる史朗に「そんなことないよ、これ形は悪くても十分美味しいよ!」と元気づけたり(料理計画がびしっと決まらないとブルーになることと「こんな小さなことでクヨクヨしてどうする」と自己嫌悪になる史朗さん…これがまた共感するんです)。それから、ケンカをしたら「この前作ってくれたあれが食べたいんだけどな」とねだることで相手の気をよくしたり。

作る側が食べる側の好みや好き嫌いを考えながら料理して、食べる側が喜んだり感想を伝えたりして、こうやってお互いが食卓に参加することで二人の味とか家庭の味が出てくるんだろうと思います。

めんどくさいかな?
でもこれをめんどくさいと感じたら一緒に住む意味はないよね。

きのう何食べた?(4) (モーニング KC)

きのう何食べた?(4) (モーニング KC)