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『天国は水割りの味がする』都築響一

 

天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~ (読んどこ! books)

天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~ (読んどこ! books)

 

 

『天国は水割りの味がする』すごく良かったから感想を書きたいな。分厚い本で、延々とスナックのママorマスターのインタビューが続くんだけど、それが面白いの。 みなさんの波乱万丈な人生が面白いし、経営的なことを聞くのも面白い。都築響一さんがまた聞き上手で。読者として「?」というところをしっかり突っ込んでくれるw 

インタビューしたのが2008年とか2009年ぐらいか。ちょうどリーマン・ショックの頃でガクッと景気が落ち込んだ時。ママさんマスターさんたちの多くはバブル前にスナックを始めて、バブル時代のお客さんが押し寄せて朝まで飲んでいたという景気の良い時代を経て今に至る。今ではスナックに来るお客さんたちもだいたい12時前で帰っちゃうんだって。その違いはタクシーで帰るか終電で帰るかなんだけど、でも社会全体の雰囲気とか勢いみたいなものも大きいんだろうね。

そもそもスナックって「縁がないといえばこれほど縁がないのに、日本中どこにでもある」という不思議な存在だよね。だから、本書でそんな謎だったスナック世界が思う存分覗けて楽しかった。スナックはまさにサードプレイスで、職場と自宅の間にある第三の居場所なんだね。で、私なんかはそれを「カフェで一人まったり読書かネット」に求めるんだけど、スナック好きな人はお酒と濃密な人間関係を欲するんだね。

あとスナックの話で面白かったのは食べ物関係のこと。インタビューの中で、よく「ちゃんとした料理が出てくる」という褒め言葉があるので、裏を返すと乾き物しか出てこないお店も多いということなのかな。多くのお店ではきっちりメニューが有るわけではなく、その日の仕入れによってママやマスターが適当に作ってくれるという感じになるらしい。これなんか、その時その時の手に入りやすい食材で作れるからお店側としてはいいよね。メニューがきっちり決まってると、その食材が高騰したり品薄になったりしたら大変だからね。料金システムは飲み放題で5000円というところが多かった。

本書を読んでスナックに行きたくなったかというとならないwでも面白かった。市井の人のインタビューってほんと面白い。