『文化系女子という生き方~「ポスト恋愛時代宣言」! ~』 文化教養で人生はこんなにも豊かになれる

 

文化系女子という生き方~「ポスト恋愛時代宣言」! ~

文化系女子という生き方~「ポスト恋愛時代宣言」! ~

 

 「文化系女子」「ポスト恋愛時代」という軽薄なキーワードから「はいはい、これからは昔の恋愛一辺倒だった生き方からオタク的な楽しみに逃避して生きればいいってことが書いてあるんでしょ、それで文化系女子のペアとして草食系男子というキーワードが出てきて、あとは適当に文化系女子クラスタ毎に紹介してるんでしょ」「でも軽い気持ちで暇つぶしとして読むにはいいか」という先入観で手にとったのですが、もっと厚みのある本でした!読んで良かった。

もしかしたら「リア充」とか「文化系女子」のような流行りのキーワードを散りばめたのは、著者の湯山さんがというよりも、出版社の意向が大きいんじゃないのかな。

最初の方は「恋愛ではなくて文化を選んだ女子」ということから書かれていて、こんな感じでだらだらと続くのかと思いきや、これは本当に最初だけ。基本的には、現代の日本女性がどのように文化と付き合ってきたか。そして、アクセサリーのような身につかない文化教養とのつきあい方はもったいない、文化教養で人生は素晴らしく豊かなものになる、そのつきあい方は…という内容です。

文化教養とのつきあい方。作品世界に逃避するのではなく、絶えず自分の実人生にフィードバックさせる。自分を介在させてこそ、文化教養で受け取った造詣が血肉化し、文化教養の持つ爆発的に素晴らしい力を体感することができる。

素晴らしい作品は、「感動して泣く」「笑顔になる」というわかりやすいものばかりではない。違和感を覚えるようなものもたくさんあるが、それを切り捨ててはもったいない。そういう違和感を自分の中に住まわせる、また「なんでそう感じたんだろう」とそれをトリガーに考えを深めていく。自分を深く耕す。

作品はただ受け取るだけではない、自分と化学反応させることで初めて意味を持つ。作品が完成する。

思考停止せず、絶えず自問自答していくこと、知的な洞察力を働かせ続けるのが文化系としての生き方。これをずっとやっていくと人生は面白いし退屈することがない。

以上のことを受け取りました。大和書房らしく文化系を入り口にした自己啓発本という側面もあって、文化系として生きる時の大きな指針になると思いました。

そうそう、こちらの本でもう一つ大きなことは、やっぱり「文化系女子マッピング」ですよね!「アート大好き女子」「ドラッガー&サンデル女子」「日本酒女子」「インモラル嗜好女子」など、今時の文化系女子を類型化、マッピングしていて湯山さんなりの解説をしています。面白いけど辛辣。めっちゃ具体的で「きっと文化系の仕事をしていたりメディアの世界にいると、こういう人がたくさんいるんだろうな」と思いました。

スピリチュアル系で神社、八百万の神、「日本は神に守られた特別な国」から政治参加社会派女子(右翼系)への流れもありそうだなあと思ったし、あと知的な装いをした女性がエロや過激な性体験を語るのが文化系世界でやたらと持ち上げられることから、手っ取り早く自己顕示欲を満たしたい人が進んでインモラル体験を語りたがることとかも「あーなんかわかるー」と。

私がこの中で近いんじゃないかと思ったのは「バーキン女子」で、ちなみにエルメスのバッグの方ではなく、そのバッグが作られる元になったジェーン・バーキンの方です。作りこんだスタイルやコンサバティブな格好じゃなくて、洗いっぱなしの髪の毛で素肌にVネックのセーターとか素足にバレエシューズとか籠バッグみたいなスタイルが好きで、美人ではないんだけど飾り気のない自然体なキャラで都合よく一流の男性に好かれて女性としての幸せを享受し…みたいのを目指すというか志向するというのかな。なんか更級日記の主人公が「紫の上は無理でも、浮舟ぐらいなら私でもなんとかなるんじゃね?」と思うような感じでしょうかしら…。あとこれは読んでいた雑誌「オリーブ」の影響も大きい。

あとね、「文化系女子を待ち受ける罠」の「感性で持ち上げられる罠」に書いてあった、「若い女の子がちょっとおもしろい表現をすると、そこそこ権力のあるおじさんたちに『おもしろい子がいるんだよ』と持ち上げられて有頂天になり、いつのまにかハシゴを外される」って、私が若い頃にそんなことがあったらまず間違いなく有頂天になりまくるだろうなあw

だからね、これ若い子がというか、私が若い頃に読んだら「なんて意地悪な人なんだ!」なんて怒って、今の読後感と全く違ったものになったかもしれないw

 

※「文化系男集団の中に女性が入ることの難しさ、というかほぼ無理!問題」については、私自身はそもそもそういった体験がなかったからスルーしてしまったのですが、ここの分析は本書の白眉ではないかと思います。この辺りに心当たりのある人はすごくぐっとくるんじゃないかな。

 

 

 

『安部公房とわたし』山口果林

 

安部公房とわたし

安部公房とわたし

 

 なんか私、女の人の体験談的なものばっかり読んでますね。

山口さんはNHKの朝ドラヒロインを務めたこともある、そして今も活躍する女優さんで、安部公房は言わずと知れた大作家です。

二人は安部公房がなくなるまで恋人関係、実質的な伴侶だったんだけど安部公房には家庭があったので、その関係はひた隠しにしなければいけなかったんですね。

偉大な作家に見初められ、その生活を身近に見ることができた幸せや、さらに文章修行などの薫陶を受けたという財産はあるけど、やっぱり常に孤独や不安がつきまとう関係で辛かったろうなあ。まあ、奥さんや娘さんからみたらまた違った感じになるんだろうけど、本を読んでいるときは山口さん目線で考えてしまうので。

安部公房と山口さんが「ソニーファミリークラブ」という、輸入雑貨の通販を愛用していたと言うんだけど、もしかしてこれが後の「ソニプラ」なのか…!と、変なところに反応してしまったw

『ほどのよい快適生活術---食べる、着る、住む』 岸本葉子

 

 横森理香さんが「たまに会って近況報告を聞く元気な女友達」だとすれば、岸本葉子さんは「たまに会って近況報告をお聞きするお姉さま」という感じです。

カーテンの選び方とか、散歩の仕方とか生活の細かいところで延々と逡巡する様子が描かれているのが岸本さんのエッセイなんだけど、私自身もそういうところがあるし、その際の選択ポイントで共感するところもよくあるので、読んでいて「そうそう」となります。または、横森さんのエッセイみたいに「そうだったのか!じゃあ私もそれやろう」と実際に生活に活かせることも。

『李香蘭と原節子』四方田犬彦 李香蘭さんがこんなに立派な人だったとは…!

 

李香蘭と原節子 (岩波現代文庫)

李香蘭と原節子 (岩波現代文庫)

 

骨太でしっかりした論考でした。読後の充実感がすごい。

なぜ原節子李香蘭なのかというと、両者を比べながら論じることで植民地(満州)と日本、西洋と日本、日本人はどういう女性を理想としてきたか、どういう女性に都合のよさを感じてきたか、などなどいろんなことがわかるというわけなんです。

ちなみに本書の最後には原節子李香蘭という対立軸ではなく、もう一つの重要な対立軸が用意されています。

原節子といえば私にとっては小津安二郎東京物語』の人でした。ちなみに、その作品を銀座の並木座で見たときに「永遠の処女というからもっと細身で儚い人かと思ったら意外にがっちりして顔だちもしっかりしてる!」という印象を持ったことを覚えています。

それもそのはず、原節子がブレイクしたきっかけはドイツ人監督に見染められて日独合作映画のヒロインになったことで、今の世でもよく聞く「世界に認められた美しさ!」というものだったんです。西洋人らしい堂々とした美しさの持ち主ということで、日本人の西洋コンプレックスに応える存在だったんだね。当時は原節子ハーフ説も根強かったんだって。

で、戦中は国策映画に出まくって軍国の女神、戦後は民主主義の女神、そして小津作品でノスタルジーあふれる理想の日本女性と大衆に受け入れられてきた。常に日本人が安心して身を委ねたい価値観の理想形。引退後に表舞台からきっぱりと退いたという身の処し方も日本人好み。

一方、李香蘭は日本の植民地だった満州で生まれた日本人で本名は山口淑子。最初はソプラノ歌手としてラジオ出演していたところ、満映の目に止まり女優の道へ。大陸三部作など国策映画のヒロインを演じスターに。戦後、中国で裁判にかけられるものの危機一髪で帰国。戦後は日本の映画だけでなくアメリカ、香港と国際的に活躍。その後、3時のあなたの司会者、国会議員を経て、パレスチナ問題、従軍慰安婦問題に尽力。ご本人も自伝を出したり、折に触れて自らの考えをしっかりと述べる。(この辺りはよく知らない人から「でしゃばり」みたいに誤解されたりもするらしい)

李香蘭のこと映画も見たことなかったし実はあまりよく知らなかったんだけど、いやーこんな立派な人だったとは…!「3時のあなた」の司会をしているときにイスラエルパレスチナのことを取材したときがあって、その場限りではなくライフワークとしてパレスチナ問題に取り組むんだよね。

それから従軍慰安婦問題への取り組み。本書の最後、李香蘭というか山口淑子さんに四方田犬彦さんがインタビューしたことが載っていて、そこにすごく印象的なエピソードが紹介されるの。韓国の従軍慰安婦だった人が後年、山口淑子さんと会った時に、満州従軍慰安婦をしているときに李香蘭が映画撮影しているところを観に行ったという当時の思い出を語ったこと、その人は16,7の頃に新しい服を買ってもらったと嬉しく街を歩いているときに日本軍に連れていかれたこと、山口さんは「年も違わない二人が、一方はスターで一方は従軍慰安婦だったなんて」とすごくショックを受けたそうです。そして「だから私は戦争を憎むんです」と。このあたりが本書のクライマックスではないかと思いました。

あと、李香蘭が行く先々で常に語学と声楽のレッスンを欠かさないというのが何気によかったなあ。私もがんばろう!って思いました。 

 

 

『大島渚と日本』 四方田犬彦

 

大島渚と日本

大島渚と日本

 

 私にとって大島渚といえば、テレビで着物を着て(なぜか紫の着物を着ているイメージ)トーク番組で笑顔になったかと思えば突然怒り出す人、映画監督としてはすでにそのキャリアを終えてしまった人、というイメージでした。

こんなに創作意欲旺盛で、多作な監督だったとは!

作品は「日本人が目を背けたいもの」をどんどん白日の下に晒していくものだったそうです。

大阪・西成でロケをした『太陽の墓場』と、豪華キャストの『戦場のメリークリスマス』が観たくなりました。そういえば戦場のメリークリスマス』のMr.ローレンスはデヴィッド・ボウイのことかと思っていたら違うんですね!ずっと誤解してました。

また瞑想始めました

出産前にちょこちょことやっていた瞑想をまた始めました。しかも毎朝の楽しみになってる…!

久しぶりに瞑想がやりたくなって始めたらすごく気持ちよくて、その気持ちよさ、至福感をもっと味わいたくてやってます。

自分のツイログを見返してみたら、再び瞑想を始めたのは1月13日。

なすこ@nasukoB

朝ヨガをしている途中で、とても瞑想をやりたくなったので、途中で切り上げて瞑想をしました。自分自身であること、心配事を溶かして肯定感に包まれる心地よさを味わいました。瞑想の良さを再確認しました。

 あ、それから毎日やってるんだね。今のところ寝坊したり物理的に瞑想できない理由がなければやりそう。

『50代から もっと幸せ』 年上の元気な女友達の話を聞いているみたいな

 

横森理香 50代から もっと幸せ

横森理香 50代から もっと幸せ

 

 私にとっての横森さんは、たまに会って近況報告やマイブームを聞く元気な女友達という感じ。「あれいいよ!これいいよ!」と楽しくおしゃべりを聞いているような感覚で横森本を読んでます。

今回の本では、エプソムソルトというお風呂に入れるマグネシウムが良いと聞いてさっそく買ってしまったw届くのが楽しみ。