『ファッション・ライフのはじめ方』がすごくいいよ。やさしい哲学書を読んでるみたい。
- 作者: 高村是州
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/10/21
- メディア: 新書
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一言でいうと「おしゃれになるための適切な頭の使い方がわかる本」
自分の見た目を良くしたい、人に良く思われたい、という欲求への健全で現実的な対処の仕方がわかります。
私自身のことを言うと、人から好かれたい、魅力的に思われたい、けれどどうしていいのかわからない。その一方で、幼少期から「外見ばかり着飾るなんて軽薄だ」「人の目を気にすることはいけないこと」という刷り込みもたっぷり受けてきたので、そういう自分の欲求を抑えつけて知らないふりをしていたりもして、かなり混乱していました。
本書を読んで、その混乱がだいぶ整理されました。
これを読んで、ファッションの本質や「人の目を気にすること」の意味を理解して、その上で具体的な情報をファッション誌でカバーしたらすごくいい。ファッションを楽しみつつ、振り回されることがなくなるはず。
10代の男の子向けだけど、大人が読んでも女性が読んでも得ることがたくさんあります。
以下、しっかりと頭に叩き込んでおきたい箇所をメモ。
ちょっと友達を観察してみましょう。みんな、洗面所の鏡とずっとにらめこして、前髪を右にやったり、左にやったりしていませんか?
それは、すごく正しい自分との向き合い方です。
自分の顔をよりよく見せるために、一番利用できるのは髪型です。髪をいじるのは、まさにファッションという行為そのものなんです
これ、見た目が気になって髪ばっかりいじって、でもそんな自分じゃダメだよな…と思っている10代の子にすごく優しい言葉だと思いました。男の子が鏡を見て一生懸命髪をいじることはだいたいネガティブに語られるけど、たぶん本人たちもそんな行為に罪悪感を抱えているような気がする…。
自分というのは、他人と関係なく存在するものではないんですね。「他人がいるから、自分がいる」といってもいいと思います。だから服が必要になるんです
これは私が占星術をしていることからの感想なんだけど、天秤座的な考え方だなと思いました。
他者との関係の中で自分を構築する、認識する、というのがそれ。
ファッションはうまく使えば、自分が思うとおりの自分を人に想像してもらえることができます。相手の想像力を、こちらのイメージどおりに引き付けることができるんですね
「でも逆に、自分が思うのとは違う自分を伝えることもあります。そんなときでも「これは自分じゃない!」と否定したりせずに、「そうか、それも自分なんだ」と受け止めて、「自分」の中に取り込んでいく
男の子が惹かれるのは、女の子たちの外見のキレイさだけなのでしょうか?
僕はそうは思いません。あなたが彼女たちの外見を見て「キレイだな」と思うときには、ほぼ必ずといっていいほど、彼女たちの内面の「キレイになりたい」という気持ちも見ているんです。
「外見だけに惹かれる」なんて、じつは、なかなかできないことなんです。
キレイになりたいという気持ちがキレイに見せるなんて、希望が出ます。
買い物で失敗した場合
まず、失敗に終わったアイテムも、買うときには「これがいい」と思って買ったはずです。そのときにイメージしたことと、実際がどうズレていたか。それを検証することです。
ファッションは自己紹介でありコミュニケーションだから、人の評価というものは無くてはならないものだけど、人に振り回されることとは違う。私はこのあたりの区別が全くついていなかったので、この本で健全な指標を与えてもらったと思います。
以前、人の評価に振り回されたりそれを深刻に捉えてしまった時期があって、その反動で「こういうのは無意味だ」とまた極端に考えが飛んじゃったりしたんだよなあ。