『進撃の巨人』

人気漫画の『進撃の巨人』を読んだ。

中世の城壁のようなところに全人類が住んでいる。
100年前に突如現れた巨人たちに追い詰められて、いまや人間の住む場所はとうとうこの城壁の中だけになってしまった。城壁は三重になっていて、中央へ行くほど権力者、外壁に近いほど命が軽く見られている者たちになっている。

外壁は1巻の冒頭で巨人に壊され侵入されてしまう。
巨人たちは街を破壊し、人々を喰らう。
主人公エレンの母親もそこで巨人に喰われてしまった。

母を殺した巨人への憎しみと自由への渇望から、エレンは幼馴染みのミカサ、アルミンと調査兵団を志す。

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面白かった。

「兵力を高めるほど安全な立場に身を置くことになる」とか、人間の本質はどうしようもないので、そのどうしようもなさを考えてシステムを作ったほうがいいとか、これは両方ともアニが言っていたことだったかな。

読者から見たら「巨人のような大きな危険が迫っているんだから皆一丸となって戦ったり庇いあったりするはず」と思うんだけど、それは読者の視点が主人公達と一体化しているからであって、城壁の住人からすれば、巨人という危険が見えないかぎり、兵士達が何をしているのかもわからないし、危険が迫っていることもピンと来ない。巨人に襲われて逃げてきた避難民達も同情というより「邪魔な人間が増えた」という気持ちが先立つ。

こういう人間の普遍的な愚かさがよく描けてると思った。

上記のは、今現在の福島原発事故と事故が見えない地域に住んでる大多数の住人たちとの温度差が当てはまると思う。作中に出てきたエレン(たぶん)のセリフ「言うことはむちゃくちゃだけど支持と権力があるからタチが悪い」というのも、いまの安倍政権に当てはめたいところだ。

(…わたし、実は少年マンガしかもファンタジーものに触れる機会ってめったにないんだけど、こういう「人間の普遍的な愚かさ」みたいなのって、よくある設定というか背景なんだろうか…いまふとそんなことが頭をよぎった)

兵法のシステムとか武器の構造もきっとよく考えられて描かれているんだと思う。よくそこらへんの説明が出てくる。私はこのあたりは飛ばし気味で読んでしまったけど、興味のある人はもっと止まってイメージして読むのだろうか。

漫画の方では、登場人物の顔や、現行シーンと回想シーンがたまに混乱してしまったけど、アニメの方ではそのあたりがしっかり区別されていた。