『作家の食卓』

 

作家の食卓 (コロナ・ブックス)

作家の食卓 (コロナ・ブックス)

 

 こういう食べ物、料理関連の本が大好き。立原正秋の旅館の朝食のようなメニューにビールというのもいいし、石川淳のビーフステーキと南青山の重厚な豪華さのあるマンションのお部屋もいいし、永井荷風のいかにも昔のお蕎麦屋さんにありそうなグリーンピースの乗ったカツ丼もいいし、色川武大のコロッケがメインの夕ご飯らしい食事もいいし(といっても色川武大は1日6食なんだけど)、森瑤子のヨロンどんぶりをみながら「そういえば英国人の旦那さんがひどい人だったんだっけ…」と感慨にふけったり、織田作之助が好んだ生卵の乗った自由軒のカレーは今はなき伊勢佐木町のカレーミュージアムにあったけど食べそこねたなあとか、森茉莉って持ち上げられてるけど近くにいたら嫌な奴だよなとか、開高健の美味しいものを無心に頬張る写真がかわいすぎるとか、そんなことを思いながら楽しく読みました。これ『作家のおやつ』という続編が出てるからきっと評判だったんだろうなあ。ここに安部公房も乗せて欲しかったけど、家族側から書くのか山口さんとの生活から書くのかでややこしくなりそうだから難しいよなあ。