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『老後ひとりぼっち』意外にも元気が出る本だった!

 

老後ひとりぼっち (SB新書)

老後ひとりぼっち (SB新書)

 

 気が滅入りそうなタイトル。ページをめくるとまずは、独りぼっちの老後は誰にでも訪れるものだということから始まる。そうだよなあ。たとえ家庭を持っていても、核家族で子供が独立して連れ合いが亡くなったら間違いなく独居老人だものね…などと我が親や自分自身のことを思い浮かべていると、次は「老後ひとりぼっち」の人たちのインタビューが続き、受取額の少ない国民年金で四苦八苦している人や、自立したキャリア女性の寂しい老後やらでますます暗い気持ちになり、「老後ひとりぼっち」の前に立ちはだかる保証人制度、家を借りるにも有料老人ホームに入るにも、そして入院手術に至るまでも「保証人」を要求されるという困難が書かれているあたりから、「あれ?」という感じで、本のメッセージが力強く上向きになっていくんですよ。

保証人制度で身動きが取れない、家を借りるために疎遠になっていた身内に頭を下げなければならなかった実例などが紹介され、「あああ、そんな風になったらどうしよう」「なんでこんな世の中なんだ」と嘆いていると、著者の松原さんは、実は病院や大家が保証人を要求することに法的根拠なんて何もない。そんなことがまかり通ってきたのは私たちがおとなしく従ってきたからだと。「単身高齢者であるわたしたちは、『しょうがない』と言ってないで、次の世代の人たちが生きやすいように、他者を頼らないでも生きられる社会に変革していく義務があるように思う」と。嘆いているのではなく、声を上げて行動を起こしていこうと言うんです。私はこれを読んで「そうか、そうだよね!」と思い始めました

で、現状、入院手術で保証人を要求されてるんですけど…という人への具体的な対応策も書かれている。まずは「独り者なので身内はいません」とはっきり言うこと。「身内はいることはいるんですが、頼みたくないんです」などと余計なことは言わない。これで断られることはまずないが、もし断ってきたら、逆にろくな病院ではないのでさっさと他の病院をあたること。それから病院が保証人を要求するのは、治療費のとりっぱぐれを心配してのことなので、「治療費を先に預けさせてください」とさきにお金を出してしまうこと。

このような感じで、家を借りるときの対策も書かれています。

そして、悲惨な「老後ひとりぼっち」にならないための20の提案。私的には名言の宝庫で面白かった。例えば「おばさんと仲良くなる」の項では「男性の皆さん!若い女性は、あなたの目を癒してくれるかもしれないが、何の役にも立ちませんよ。あなたの老後を楽しいものにしてくれるのは、おばさん、おばさん、おばさん!声の大きい、三段腹のおばさんですよ!」とか(すみません、「!」は私がつけちゃった)w

それからこれ「私はここで大きな声で言いたい。『60過ぎたら、恋はないのよ』。60からは、恋の相手ではなく、同志なのだ。はっきり言うが、『男』にこだわる男は女性から嫌われる。性別を捨てた男性は、女性から好かれる。ここをよく学んでほしい」わかるー。

私が自分でぜひ覚えておきたいと思ったのは「寂しい見た目から明るい見た目に変える」「見た目が変われば、生き方も変わる。これは本当のことだ。もし、寂しい老後ひとりぼっちの人生は送りたくないと心から思うなら、ぜひ、見た目を変えることをお勧めしたい」。これ確かに大事だろうなあ。見た目で判断してしまうって確かにあるし、不潔で薄汚いお年寄りではなくて、清潔で明るいお年寄りに好感を持つし、自分でもそうなりたいし、そうであること自体が幸せな日々を作るように思う。

ただ、おしゃれって体がきついとそんなにエネルギーかけられないでしょ?そこで本書の提案は、まずは服の色から変えてみませんかと。「服装と言うと、センスと捉えられハードルが高く聞こえてしまうかもしれないが、そうではなく、色が重要ポイントなのである」「中高年は顔がすでに茶系なので、これ以上茶系にしたら、本当に土偶にしか見えなくなる」土偶ってwwいやーでもわかるわ。

心強く思ったのは病気の心配をするのはやめて神様におまかせしてしまおうというところ。「考えても考えなくても病気になるときはなる。この分野は神様の領域だ。そう思ったら気が楽になった」。とはいえ「と言いながらも、気になる症状があるときは、クリニックに行くつもりでいる。そう、わたしは言っているほど豪快ではなく、小心者なのだ」ですよねー。普段からくよくよ考えがちだからこそ、基本的には神様にお任せという気持ちでいようってことなんですよね。

「老い先を考えて暗い気持ちになる問題」対策は、「今やることで頭をいっぱいにすれば、悪い妄想を追い出せる」。「先の心配をするのはよそう。頭ではわかっていても、なかなかそう簡単には実行しにくいが、先の心配は頭の中で作り上げた妄想に過ぎない。先の心配をするとき、目先にやることがない場合が多い」「やることがある。行くところがある。会う人がいる。年を取ればとるほど、ひとり暮らしが長くなればなるほど、大事なことになる」。覚えておこう!

共感したのは「孤独死だけは避けたい思い」「死後何日もして腐敗されてから発見されるのを極端に恐れる」ことへの「えー、なんでー?自分、死んじゃってるんだからわからないじゃん」というところ。ほかの人はともかく、こと自分自身に関しては松原さんに共感しました。

で、大事なことは、「悲惨な老後ひとりぼっち問題」の問題というのは、政治を抜きに考えられないということ。まず年金からしてそうですものね。先ほどの保証人制度にしても、今の不自由さというのは、私たちが声を上げず「しょうがない」「どっちでもいい」「おまかせする」と抵抗しなかったから。逆に、声を上げていけば世の中は変わるだろうし、これからはぜひそうしていこうと。さらに「老後ひとりぼっち」の孤独問題ということでも、例えばデモや集会とか社会活動に参加することで、同じ価値観を持つ友達ができる。

老後の問題って、つい受け身な態度で嘆くばかりになりがちだけど、本書を読んでいると「ちょっと、嘆いている暇があるのなら前向きなことをやってみたら?」と発破をかけられているような、元気な気持ちに方向転換されていきます。