『台湾の歓び』四方田犬彦
四方田さんの地域ネタというんだろうか、その国というか地域に滞在してその土地のことを綴ったエッセイ、それが好きで、見つけると読んでいます。
こちらは冒頭で台湾とキューバってちょっと似てるよね、というところから入っていって、台湾の町は中国大陸の地図をそのまま写し取ったように街や通りの名前が配置されていること(その地域の東南には中国の東南に位置する地名が配されているとか)が書かれ、そして四方田さんが立ち会った台湾のひまわり学生運動のこと、台湾で信仰されている媽祖という海の女神、そして四方田さんが実際に参加した媽祖巡礼のお祭り、台南について…。
なかでも印象に残ったのはひまわり学生運動と媽祖巡礼。両方ともうらやましいな、台湾っていいところだなと思った。
日本だと社会運動、学生運動って賛同してくれる人もいるけど、それ以上に無理解とか意地悪な目線にさらされることが多く、一般の人たちが広く協力してくれるということがなかなかない。一方、四方田さんのひまわり学生運動のルポを読むと、大学の先生たち、学生が選挙した国会議事堂的なところの近くのコンビニの人たち、その他、様々な人たちが広く学生を応援して、トイレを貸したり差し入れしたりと応援しているのがすごくいいなと思った。学生たちも非暴力、非破壊を是として行動している。日本の社会運動も基本的にはこういう感じを指向していると思うので、目指すべき在り方だなと思った。ちなみに、何を運動していたのかというと、当時の台湾政府が台湾の人やお金を中国に売り渡すことを阻止することだったのだそう。
それから媽祖巡礼。詳細は覚えきれなかったけど、1年に1回、媽祖神を担いで8日間だったかな、それぐらいの日数をかけてどこかからどこかまで大勢で歩く行事があるそう。日本で近そうなものはお遍路様かな。こちらも私よく知らないんだけど。それを任意の参加者みんなで歩いて、それで途中途中に休憩所や寝る場所があって、それはその地元の人が無償で用意してくれるのね。だから参加者はその日数は寝る場所も食べるものも用意しなくていいの。それを用意する人たちも、巡礼者が自分の提供したものを受け取ってくれることで媽祖の祝福が得られるので喜ばしいことなんだって。四方田さんの書き方がうまいから私も参加してるような気になれた。
また台湾に行きたくなった!今度は台南にも行ってみたい。