「リトルダンサー」、昔の街の猥雑さ

やっと「リトルダンサー」を観ることができた。
この映画の大筋の内容は84年当時のイギリスの炭鉱町、ダーハムを舞台に、11歳の男の子がバレエに夢中になる。炭鉱のストライキ中の父・兄は男がみっともないと大反対するが・・・。というもの。
泣けて笑える佳作。たまに泣き所がわかりやすかったりするんだけど、それもまた魅力かな。主人公の男の子はじめ、男性陣が魅力的なので、自分的にはそんなところもよかった。

これをみると、日本でのイギリスのイメージってだいたいイギリスの上中流階級や、ロンドンの都市生活あたりのことなんだなあとわかる。イギリス人といっても地方で労働者階級の生活をしている多くの人はロイヤルアカデミーの優雅な建物など、まるで無縁な生活を送っているんだよね。

リトル・ダンサー コレクターズ・エディションリトル・ダンサー コレクターズ・エディション
(2005/12/22)
ジェイミー・ベル

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映画みて泣き終わった顔をもてあましたまますぐそばの本屋へ。
荒木経惟さんが70年代の東京を撮った写真集をながめる。整然とした美しい街並みではなく、新宿ゴールデン街とか上野とか、飲み屋や成人映画館で彩られた街が被写体。
現在と比べたらそのころの東京はぎょっとするほど猥雑だ。

この写真集見て、なんで小さいころ、街にこわいとこがいっぱいあったかがわかった。
例えば、上野の駅前にあるデパート(正確な名称失念)なんかには日活ロマンポルノみたいな成人映画の看板がてんこもり。ビルの外壁のほとんどがそれで埋め尽くされている。自分の実家は横浜の下町で、ちよっと買い物に行くとすぐ飲み屋があったり、女の人が狂喜乱舞(四文字熟語の使い方ちと違うか)してる成人映画のポスターがはってあったりした。酔っ払いのおやじがほっつき歩いてたり。
新横ラーメン博物館みたいな昭和30年代の街並みを再現した施設がどこか物足りないのは、この猥雑なエロのスパイスが足りないからだ。そーだ、ラーメン博物館に即刻成人映画の看板取り付けにいくべし!

・・・って、子供もくるとこにわざわざそんなもん取り付けるはずないか。昭和30年、40年代と年代もずれてるし。それにしても、当時の子供はハードだよなあ。こういう看板やポスターに絶えず対面させられていたんだから。

成人映画館が激減したっていうのもあるし、いかに当時から現在までこういうエロ看板が撤去されてきたかですかね〜。単にアダルトな欲求は映画からビデオやネットにお引越ししただけなので、この30年間で品行方性になりましたってわけじゃ全然ないんだけど、こう街に不用意に猥雑なエロがあふれてたってのがすごかったなあと思って。