保険的な結婚

Hさんのアロマセラピーの練習台を引き受けたので彼女の自宅まで出かける。
Hさんは今一人で寝たきりのお母さんの介護をしながら生活しているので自然と保険とか生活費とかの話題が多くなる。

話は最近車にひかれて亡くなった車椅子のホームレス女性のことになった。
この人知ってる方いるかなあ。私がその女性のことを知ったのは去年あたりに日曜昼間のドキュメンタリー番組を見たんだけど。それ以外にも、よく取材されていたようなので、あちこちの番組で取り上げられていたみたいです。
池袋・・・新宿だったかな、でキーボードの演奏をしながら暮らしていて、「仕事がない→住む場所がない→住所がない→福祉受けられない」というところで堂堂巡りをしていてホームレス生活を余儀なくされていたそうです。テレビで見たときも酔ったサラリーマンに「(キーボードの演奏の)許可をもらってんのか!」などと怒鳴られたり、その人自身も「昔から泣き虫だったのよ。なんでこんなになっちゃったのかしら・・・」とよく泣いている様子が映されてました。

Hさんが見た番組によれば、その女性はまだ40代で(実はそれきいてびっくりした。50、60あたりにも見えるし、逆に子供のような少女のようにも見える浮世離れしたような人だった)、もともとは編物の先生をしていたということ。その他の詳細な経歴は忘れてしまったんだけど、Hさんの推測によると、「社会性がないってことで職場や地域から追い出されたのでは」ということでした。

その後唐突にHさんが私に「結婚した方がいいよ」と言ってきた。
「私は離婚しちゃったけど兄弟がいるからこうやっていられるけど、誰もいなかったら気が狂っちゃってるわよ」と。同棲しているだけだったら親になんかあったときには彼に頼ることはできない。だけど籍が入っているともう家族だから夫を巻き込むことができる。で、結婚していなくても兄弟がいれば助けあうことができるが、なっちゃんは一人っ子なのでそういう人がいないから結婚して家族を増やすべきだということだそうです。

でもその話を聞いて、結婚もしたくないし今のとこ子供も欲しくないという人が、「将来の不安を解消するために」結婚するのは大きな不幸の始まりなのでは、とも思ってしまいました。


Hさんのお母さんがおでこを切ったことがあって、傷が深く血がダラダラ出たので救急車を呼んだそうです。救急車が運んでくれたときにはほっとして「これで大丈夫」と思ったそうなんですが、病院に着いて、傷口を縫うという処置をされた後、「じゃああそこでお金払って、帰ってね。」と帰されたんだって。
真夜中、タクシーはなかなかつかまらず、もともと寝たきりのお母さんを支えながら、やっとのことでタクシーを拾って家に着くともう明け方ですごく絶望的だったという話をしていました。

こういうのは家族の誰かが車でも運転して家まで送るのが今の社会としては正解なんですかね・・・。

Hさんはヘルパーさんも頼んでいるそうなんですが、この前つめを切ってくださいと頼んだところ、爪を切るのは看護婦さんだかだれかだかの仕事の管轄なのでできないといわれたそうです。ほかのところでも、ヘルパー=家政婦と勘違いされやすいのを防ぐので、わりと頼んではいけないこともあったりして、気を使うといってました。で、それが家族ならそんな気遣いなく頼めるって言うんですよね。

そういえば私の母の実家がある九州でもよく「血ぃやもんねー、血!」とかいうわけ。
要約すると息子が親の面倒を見たとかなんだってことをきいたときに「やっぱり血がつながっているだけのことはある」みたいな。なんだろ、家族しか信用できない、心を許せないってのがあるのかな。

お金持ちで家があってっていう男性と結婚しようとしゃかりきになっている女の人っていうのは、もしかして単なるステイタスだけじゃなくて、そういう将来のことも見越してのことなんですかね〜。そういう価値観でいると、たしかに30過ぎて結婚相手がいないなんていうと、もう死活問題になりそうですね。


で、つい私も引き込まれて恐慌してしまいそうになるんだけど、よく考えてみたら夫も子供も兄弟もいなくて、ある程度年を重ねたら仕事もない、即ホームレスの危険を抱えながら生きてゆかなければならない社会っていうのもどうかなと思います。日本は今まで行政や政府がやるべき福祉の仕事を家族の中で処理してくれっておんぶしていたので、遅れてきたってとこもあるのかな?

う〜ん、まだちょっと答えが出ないです。
これからも考えていきたい問題です。

広告を非表示にする