石原加受子 『仕事も人間関係も「すべて面倒くさい」と思ったとき読む本』 覚書
定期的に読む石原加受子さんの本。
今回はこのタイトルの本を読んでみた。
石原加受子さんの提唱する「自分中心心理学」では、他者中心に生きている人は自分の内面を顧みることなく他者の都合や評価に振り回されて生きている。一方、自分中心に生きられている人は自分の実感や内面に基づいて生きている。また、石原さんは自分中心に生きている人は「いま・ここ」をベースに生きているとも言う。そうするならば他者中心に生きる人は「過去と未来」(後悔と不安)をベースに生きているわけだ。
現代人はとかく他者中心の窮屈な生き方をしがちだ。でも本来の自分中心の生き方に戻ろうとしても、そんな急に、こんがらがった思考をほどくことはできない。そうなると、つい「他者中心の考え方から自分中心の考え方に変えたいのに変われない!」なんて焦ってしまいがちだが、それでは本末転倒だ。
そこで本書では、無理なく少しずつ「自分中心」になれるレッスンとして「一円の貯金」を薦めている。もちろん1円というのは比喩であってコインを貯める話ではない。
本書で石原さんが提唱していることはエックハルト・トールで言うところの「抵抗を手放す」や「身体感覚を味わう」と共通していると思った。少しずつ「自分を感じる」「いまに焦点をあてる」ことで、自分の気持ちがほんの少し楽になったりホッとしたりすることにしっかりと気づき、そして味わうこと。それが「本来の自分」になりラクに生きるコツだ。
「え、そんなこと?」と思うかもしれないが、ホッとする瞬間、楽になる瞬間というのは意外に軽視しがちなので、十分に味わわないうちに見失ってしまうものだ。
それから、何か不安に思ったり無力感を感じたときはどうするか。
そんなときはムリにポジティブな思考を自らに強いたり、「こんな自分じゃ駄目だ」と自己否定するのではなく、まずは不安や無力感を感じていることを認め、不安や無力感を感じている自分に寄り添うことだ。
難攻不落な心や問題に真っ正面から取り組むのではなく、こうやって自分の硬直した在り方を少しずつほどいていく。そうすることで、自然に今まで見えなかったものが見え、自分の妙な思い込みに気づくことができるのだ。

- 作者: 石原加受子
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2012/09
- メディア: 単行本
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