『25パーセントの女たち: 未婚、高学歴、ノンキャリアという生き方』

25パーセントの女たち: 未婚、高学歴、ノンキャリアという生き方

おもしろかったー。

25パーセントの女…サブタイトルを見たらだいたい想像がつくと思うけど、企業の正社員や公務員で在り続けることとか、結婚して子どもを生むこととか、旧来の王道人生に乗れない女性たちのことです。借り物の価値観に、なんの疑問も持たずにどかっと座ることができない、やっぱり自分なりの考え方や自分なりの価値観を中心にして生きていきたいという人たち。

私はいま結婚して子どもができたので、そういう意味では多数派の65パーセントの女なんだけど、でもそうじゃなかった人生が長かったし、気持ちとしてはやっぱり25パーセントの方にとても共感します。

ちなみになんで25パーセントかというと、それは著者の実感。長らく高校の家庭科の先生をしていた著者が、教え子とか身近な若い女性と接していての実感だそう。このように、データに基いてというよりも、著者の実感で話を進めていく感じなんだけど、だからといって主観だけが暴走している感じではなく、読んでいて納得感はあった。著者の梶原さんがずっと女性の生き方にこだわって考えてきたみたいなことも伝わってくる。

私自身も周囲の友人たちを思い起こすと、やっぱりこういう「学ぶことが好きで社会で自分を活かすこともまじめに考え続けている。でも、というかだからこそ、就職、結婚、退職、出産…みたいな既存のルートに乗っかれない」という人が多い。私の周りではむしろ多数派なくらい。

彼女たちは特に存在を主張するわけではなく、ひっそりと生きているので、あまり社会で注目を浴びたり可視化されることはない。

著者の梶原さんは、こういった女性たちこそ、実はいまの機能不全で閉塞感のある社会を変えていく存在になるのではないかと言っている。そう、ありがちな本みたいにそういった層を非難するものじゃないの!そこがいいよね。

人の意識というのはそう簡単には変わらない。スローガンによって変えようというのは無理がある。現実の都合が先に動いて、やっと後から人々の意識は重たい腰を上げていくのだ。

なので、この25パーセントの女たちのような、無理せずに現実の状況に即した生き方をする女性たちが増えていくことで、人々の意識や社会制度が遅ればせながらついていって変わっていくのではないかと。そう言ってる。どう変わっていくか、どう変えていくかという具体的なことはこちらの本読んでみて。

一つ、注意事項としては、こちらでは昔から存在する貧困層というかヤンキー層みたいな人たちは言及されていません。なので、そこは期待しないで下さい。